【草の根技術協力事業】富士山科学研究所 勝山小学校での防災ワークショップと意見交換会が実施されました!

2019年7月22日

JICA草の根技術協力事業「活火山メラピ山西側山腹における火山監視システムを活用した地域防災力向上プロジェクト(注1)」は、山梨県富士山科学研究所により2017年から取り組みが始まり、今年で3年目となります。
本プロジェクトでは毎年本邦研修を行っており、今年度の研修の1つとして、富士河口湖町立勝山小学校にて、防災ワークショップと意見交換会が実施されました。本研修にはプロジェクト関係者だけではなく行政職員や教員も参加し、非常に有意義な時間になりました。

富士山学習模擬授業

授業の様子

富士山の模型を使用した実験の様子

まずは富士山科学研究所の吉本主幹研究員が、小学5年生を対象に“富士山が噴火したときどのように対応すべきか”という模擬授業を行いました。どこから噴火するのか、火口はどこにあるのかなどの質問には、数人のグループで相談して答えを出していました。富士山の火口は1つではないことも知り、実際に噴火した際にはどこに逃げるかも考えておく必要があることを学びました。
その後、富士山周辺の模型と色をつけた水を使用し、実際に噴火した際に溶岩がどのように流れるのかのシミュレーションを行いました。児童は流れていく溶岩を見て、自分の家が被害を受けるかどうかなども確認していました。
今回の授業を通して、富士山が噴火した際の対応を学ぶと共に、自分たちの住む場所についても考える良い機会となりました。

インドネシアメラピ山周辺の学校校長からの報告

校長先生からの発表の様子

次にプロジェクト関係者、山梨県内行政職員、教員を対象にした報告会が行われました。
報告会では、今回の研修に参加している現地小学校の校長先生3名からインドネシアメラピ山で起こった噴火の際に、実際にどのような対応をとったのか、報告がありました。2010年に起こった噴火の際、火砕流で学校がなくなってしまったという報告もあり、被害の大きさを実感させられました。
また被災したことによるトラウマを抱えている生徒もおり、伝統的な音楽などでトラウマを軽減させる取り組みをしているという学校の発表もあり、3校とも違った視点からの発表は非常に興味深いものでした。

意見交換会

意見交換会では活発に議論が交わされました

最後に参加者全員で、防災や避難、被災経験などについての意見交換会を行いました。2011年に日本で起こった東日本大震災では、津波の来る方向へ逃げてしまい被害が拡大したという事実から、「インドネシアでは火山の噴火があった際に、溶岩の流れてくる方向へ逃げてしまうことはないのか」といった質問や、「防災用具として学校には何が備蓄されているのか」といった質問が挙がりました。それに対してインドネシアの先生方、ガジャマダ大学関係者は、「家が火山の頂上付近にある人たちは、谷方向(低い場所)※に避難したいと言ったが、防災教育を受けていた先生方が適切な避難所へ誘導した」「学校にはトランシーバーやマスクは備えている」と丁寧に回答していました。
この研修を通して、防災教育の重要性を学ぶことが出来ました。インドネシアでの更なる防災教育の発展を期待しています。

※谷方向等の低い場所は溶岩の通り道になることがあり、危険な場合がある。