チリ・国立サンティアゴ大学でJICAチェア(JICA日本研究講座設立支援事業)開講

2021年7月1日

-北岡真一JICA理事長登壇-

国際協力機構(JICA)と国立サンティアゴ大学との協力覚書(本年3月締結5ヶ年計画)に基づき、7月1日から7週連続、7回シリーズで、「日本の近代化を知る7章」を一章ずつ、その執筆者に登壇いただき、日本研究を行っている学生、教員、研究者、公的機関関係者、地方自治体関係者からなる受講者(140人登録者数)に対する日本開発研究講座がスタートしました。(オンライン講座)

初回は、JICA北岡理事長が登壇し、チリと日本との関係、JICA開発大学院連携プログラムを立ち上げ、「日本の近代化を知る7章」を作成するに至った背景と意図、そして担当の「明治維新の意味」について講演し、DVDの視聴や関連図書にて事前学習し、学内のプレ講義も受けた受講者からの質問に丁寧に回答しました。

今回の「日本の近代化を知る7章」をベースにした、7章全てをまとめてシリーズでチェアとして実施することは、まだ例がなく、かつ、執筆された方々自らが登壇するというのも初めての試みです。
今回の一連の講座は、来年度から、同講座を大学の正式単位とするための試行であるため、事前登録、事前学習を経た受講者に絞って、実際の授業・講義をイメージしたものとの位置づけです。

理事長講義の後の質疑応答では、「明治維新の改革プロセスが、今のチリでどのように活かせるか?」「維新で生まれた制度で、現在も維持されているものは?」「武士の倫理・道徳観がどのように維新で活かされたか?」「岩倉使節団が日本の近代化に与えた影響は?」などの質問に、理事長が丁寧に回答しました。

チリはすでにDACの途上国リストから外れ(2018年)、また、早い段階で、日本とのパートナーシップ・プログラムを締結し(1999年)、第三国への三角協力を進めるなど援助卒業国としての道を歩みだしていますが、その歩みに対して、パートナーとして我が国が協力・協働するもので、日本がその良きパートナー、真のパートナーとなるために、また、チリにも日本の良きパートナー、理解者となってもらうために、チリのこれからを背負って立つ意欲溢れるエリートの育成の一環としてこのJICAチェアが一助となることを願ってやみません。

ご参考までに、チェアを視聴いただいたニッケイ新聞の記事が、同紙の電子版および紙ベース版に大きく、詳細に掲載され、それが、7月2日朝のヤフーニュースのトップページにも掲載されましたので、リンクを以下の通り貼らせていただきます。
下記概要の通り、この後、2章から7章まで、毎週開催されますので、オンライン講座の聴講(講座ではスペイン語・日本語の通訳付き)をご希望の方は当支所代表アドレス(ci_oso_rep@jica.go.jp)まで聴講ご希望の旨ご連絡願います。

関連リンク

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講演するJICA理事長

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主催者である国立サンティアゴ大学César Ross副学長

チリ・国立サンティアゴ大学における JICA チェア(JICA日本研究講座設立支援事業)の概要

  1. コース名:Development of Japan: THE PROCESS OF MODERNIZATION
  2. 「日本の近代化を知る7章」(スペイン語版)を教材として使用し、8単元で構成。第1単元は導入、第2~8は「日本の近代化を知る7章」の各章を扱う。
    放送大学との共同制作番組「日本の近代化を知る7章」の概要は以下参照。
  3. 履修関連情報:現時点で140名の受講者が登録済み。尚、来年度は、卒業要件の単位数に算入できる履修科目にする計画。(2021年3月署名のJICAと大学との協力覚書により5ヶ年計画)
  4. 講義スケジュール(以下は日本時間、チリ時間は-13時間・前日夕方19時~、Zoom使用、スペイン語・日本語同時通訳付き)

    第1回 6月24日(木)Dr. César Ross 教授による導入(開講式、シラバス説明等)(済み)
    第2回 7月1日(木)8:00~9:00(済み)
    北岡 伸一 理事長・JICA「明治維新:日本近代化の原点」
    第3回 7月8日(木)8:00~9:00(済み)
    五百旗頭 薫 教授・東京大学法学部・法学政治学研究科「政党政治の盛衰」
    第4回 7月15日(木)8:00~9:00
    田中 明彦 学長・政策研究大学院大学「戦後日本の政治外交」
    第5回 7月22日(木)8:00~9:00
    伊丹 敬之 学長・国際大学「経済成長と日本的経営」
    第6回 7月28日(水)8:00~9:00
    萱島 信子 理事・JICA「日本の近代化と教育」
    第7回 8月5日(木)8:00~9:00
    チリ人教授・国立サンチャゴ大学「未定」
    第8回 8月13日(金)8:00~9:00
    加藤 宏 教授・国際大学「日本の国際協力」

    いずれも、事前の各章のビデオ教材視聴、教員によるプレ講義を経て、上述の当日、1.主任教員による導入(10分程度)、2.登壇日本人講師によるスピーチ(15分程度)、3.受講者との質疑応答(30分程度)、4.主任教員によるまとめ、5.登壇講師からのメッセージを予定。

  5. チリ・サンチャゴ大学主任教員
    Dr. César Ross教授・副学長(国際連携担当)が主任教員を務める。
    研究領域:
    国際関係、日本・チリ関係
    研究実績・論文:
    「チリと日本:経済関係のバランス、1897年から1997年」
    「チリと日本:1973-1989:不確実性から戦略的提携へ」等々