JICA北陸 2019年度 学生向けプログラム“グローバルキャンパス”が終了しました!

2019年12月20日

JICA北陸では、北陸3県に在住の大学生、大学院生、専門学校生の方々を対象に、全5回の国際理解・国際協力に関する体験型プログラムを毎年開催しています。
今年度も、8月から11月にかけて全5回のプログラムが行われました!今年参加してくれた皆さんの様子をお伝えします。

【第1回 知識編:8/29】

第1回では持続可能な開発目標(SDGs)をメインに勉強しました。SDGsは世界に存在している問題・課題をざっくりと貧困や飢餓、教育など17の分野に分類し、2030年までにそれらの問題を解決していこう!とうたっている世界共通の目標です。例えば、PM2.5やエボラ出血熱の様な環境汚染や感染症は国境を越えて他国に影響を及ぼすので一つの国だけでは解決出来ません。

また、ゴール12の「つくる責任つかう責任」は私たちにも大いに関係があります。日々なんとなく購入している食べ物や商品は多くが海外から輸入されていますが、ものによっては、先進国消費者のニーズや欲に応えるため製造工程でどこかの国の自然環境や労働環境が悪化していることもあります。日本がよければ、日本人がよければ、それでいいのでしょうか?世界で一緒に協力しなければ、また自分達一人一人が気を付けて行動しなければ解決出来ない問題・課題が世界には色々あることを、第1回ではワークショップやグループワーク、ディスカッションを通して考えました。

また、途上国に対して支援を実施するJICAが行っている事業について知った後、日本はなぜ国際協力をした方がいいのか?も考えました。半日で沢山新しいことを知った!と話してくれた学生さんたちが印象的な1回目のグローバルキャンパスでした。

【第2回 日本で出来る国際協力:9/28】

【画像】第2回では福井県にある「農園たや」さんを訪問しました。農園を経営する田谷さんは、元青年海外協力隊員の方で、ご自身の海外経験を生かして福井県で“地域活性化 X 国際協力”を長年実践されてきています。

インドネシアから技能実習生を招き、インドネシアに帰った時に役立つ農業知識やビジネススキルを農園で働く期間中に実習生に伝授し、また実習生帰国後は電話会議や出張を通して実習生が実践するビジネスや農業をフォローされています。今日本では技能実習生が直面している低賃金などの問題が報道されがちですが、そんな中、「農園たや」さんは技能実習生という制度をインドネシアの農業人材を育成するための枠組みとして活用し、福井県の現場を農業・ビジネスを経験するトレーニングセンターのように整備されています。それでいて、従業員の数は決して多くない中、日々50種類もの野菜を生産・販売されているのです!!

少ない人数でも海外経験と専門知識をフル活用し、インドネシアと日本のWin X Win関係、国際協力を実現しています。まさに日本で出来る国際協力のロールモデルであり、“国際協力とは海外でやるものだ”と思っていた学生にとっては今までの考えが変わった訪問となりました。

【第3回 世界の難民について知る:10/19】

【画像】第3回では日本にいるとなかなか実感する機会が少ない、難民について勉強しました。世界には今、難民の人達はどれくらいいるのでしょうか?国連UNHCR協会が出しているデータによると、2018年時点で世界には紛争や迫害によって移動を強いられた人は7080万人となっています。そして、残念なことにこの数字は年々増えていっています。

前半部分では、難民が発生する過程や難民の方達が体験する様々な苦難、受け入れ国が直面している課題、日本の難民受け入れ状況を学び、そして一人の日本人としてどの様に考え対処していくべきか、ディスカッションを行いました。
後半は「AAR Japan 難民を助ける会」の石川県ご出身のゲストスピーカーをお招きし、実際に難民になった後、違う国に定住することになった方達を支援した経験についてお話頂きました。物資を与え続けるのではなく、元難民の方々が自立出来るように精一杯そのプロセスに寄り添う「モラルサポート」という考え方がとても印象的でした。実際に支援に携わった方からのお話は学生にとって大きな刺激となりました。

【第4回 青年海外協力隊 駒ヶ根訓練所 一日体験:11/2】

【画像】第4回では日帰りで長野県駒ケ根市にあるJICA駒ヶ根訓練所を訪問し、実際に途上国に青年海外協力隊として赴任する方々と交流しました。
合格された方々は派遣前に約70日間、訓練所で語学をメインに様々なことを学びます。私たちが訪問した日は今まで学んできた現地に赴任した時に使う語学を使って発表し、またその語学を話す外国の方々と交流するタイミングでした。

昼食の時には沢山の訓練生の方々とお話をすることが出来、学生たちは様々なバックグラウンドを持っていろいろな国に旅立とうとしている方々から大きな刺激を受けました。訓練所、という名称から軍隊的な場所をイメージしていた人もいましたが、帰る頃には充実した設備とプログラム、明るく前向きな方々にすっかり魅了され、殆どの学生が「いつか挑戦したい!」と表明してくれました。いつかこの場所に戻ってきて訓練を受ける人がいるかもしれませんね!

【第5回 国際協力の在り方は様々!成果発表会:11/30】

【画像】最終回になる第5回は今まで学んできた国際協力の中身を整理し、どの様な協力の仕方が協力する側とサポートを受ける側、双方にとってHappyを生み出すのか、関わり方や在り方を深堀りしました。

参加当初は、「国際協力」とはお金を持っている有名人やJICAのような機関が行う特別なことで、現地に行かないと出来ない内容だと考えていた学生たち。考えを深め最後は「国際協力」とは個人レベルでも日本にいても出来る、「いつでも」「どこでも」始められることで、アプローチも経済的・物質的な支援に限らない、精神的なサポートも含むとても幅広いものであるという捉えに辿り着きました。
考えや知識が大きく広がっただけでなく、力強く自分を表現する成長した姿を最終回に見ることが出来ました。たった5日間のプロブラムでも寄与出来た部分が大きくあったと感じました。

~過去の卒業生の活躍!~

グローバルキャンパスは2013年から毎年開催しており、今年で開催7年目となりました。2017年度の参加者の中からは、このプログラムが大きなきっかけとなり実際に青年海外協力隊に応募した方々がいます。(現在、東ティモールとボツワナに赴任中です!)

昨年度の参加者は自分で立ち上げた活動を通して自分の興味のある分野を発信するイベントを開催したり(アフリカや協力隊について)、今年の参加者は参加中に学校の文化祭で学んだことを所属している大学で発表してくれました。

たった5回のプログラムですが、具体的に国際協力・国際交流を体験することで世界への視野・将来への思考を大きく広げることが出来るJICAならではのプログラムです。募集は7月頃ですが、募集開始1週間で定員が埋まってしまう人気プログラムになっています。(先着順、20名)興味のある方は是非来年早めに応募して下さいね!