所長挨拶

JICA北陸のホームページをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
JICA北陸は、富山、石川、福井3県を所管し、域内の自治体、研究・教育機関、NGO、企業、個人の皆様のお力添えをいただきながら、開発途上国・地域への日本の国際協力を実施してきております。日本の持つ知見・技術・ノウハウの国際協力への活用は、研修員・留学生の受け入れや、地域の関係団体などの提案に基づく「草の根技術協力事業」「民間連携事業」、個人の発意によるJICA海外協力隊など、様々な形態があります。これらすべての事業についてJICA北陸は、域内の総合的な窓口を務めさせていただいております。

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20年ほど前、他のJICAセンターで勤務していた時に、ある自治体の国際交流センターのセンター長が私に、「JICAは今後日本社会の『内なる国際化』のためにも役割が期待される」とおっしゃいました。その頃は「草の根技術協力」も制度が創られたばかりで、「内なる国際化」は、喫緊に起こることとは実感できていませんでした。しかし、この度再びJICAセンターに戻ってきて、国内の状況が変化してきていることを実感しています。SDGs等で示される開発課題に直面するのは途上国に限ったことではなく、多くの課題は日本でも感じられることです。また、日本各地域の経済活動の維持のために、多くの外国籍の人々の参加が顕在化しています。これらの人々は企業の「労働力」としてだけでなく、地域社会の生活者・メンバーとしても存在しています。このように日本の各地域は、より身近に、直接的に開発途上国・地域との関係が深まり、開発課題そのものも共有していると感じます。
日本国内外で共通して取り組む必要のある地球規模課題の深刻化や、経済活動等に従事する外国籍の人々の増加など、日本各地の地域が様々なチャンネルで直接世界の他地域とつながっている状況が今後も拡大していくことが予想されます。JICA北陸もそのような変化に合わせて、JICA事業の一つの強みである「途上国人材と本邦人材の往来を通じた知識・技術等の移転」を活用して、地域での在り方や事業の進め方を工夫してまいりたいと思います。
JICAセンターには、研修事業、草の根技術協力、民間連携事業、海外協力隊、開発教育支援など、対象関係者別の事業形態があり、それぞれの個別の事業を地域の皆様の参加・協力をいただきながら実施してまいりました。今後これらの個別の事業を活用しながら、3県それぞれの特色・関心や強みを活かした開発途上国・地域・人への関わり方、域内の「内なる国際化」を、「地域×課題」のネットワークの中で、この地域の一員として一緒に考えて実現することを目指してまいりたいと思います。

今後とも地域の皆様の変わらぬご支援、ご指導をいただきたく、よろしくお願いいたします。

2023年11月
JICA北陸
所長 富田 洋行