イランと釧路の子供達らが湿原をテーマに交流!「Go To Wetland!」イベント実施報告

2021年3月11日

2月21日(日)、釧路湿原のラムサール条約登録40周年を記念し【GoToウェットランド!】イベントがJICA北海道(帯広)と釧路国際ウエットランドセンターの共催、JICAイラン事務所の協力で開催されました。イベントの一環として、湿原地域に住むイランと日本の子供達らがオンライン交流を行った他、JICA研修で釧路湿原を訪問したイランの帰国研修員同窓会メンバー達が制作した釧路へのお祝いメッセージ・ビデオも放映され、湿原をテーマに両地域の友好の絆が更に深まることとなりました!

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遠くて近い!釧路湿原とアンザリ湿原の友好の歴史

ラムサール条約は湿地の生態系保全を目的とする自然環境分野では初の国際条約で、1971年に採択されました。2021年現在、世界171か国2416以上の湿原が登録されていますが「ラムサール」がイランの都市名だということはあまり知られていません。同条約の発祥の地でもあるイランでは、渡り鳥の生息地となる多くの湿原が存在し多様なエコシステムの源となっています。しかし近年、人為的な開発や汚水排水による湿原環境の悪化が進み、浸食や生物多様性の消滅等の危機が問題視されてきました。

JICAは2003年から17年以上に渡り、イラン北部のアンザリ湿原にて、環境保全を目的とする開発調査や技術協力プロジェクトを実施してきました。そしてラムサール条約の会議をアジアで初めて開催した釧路地域との湿地を通じた縁をきっかけに、イランから多くの環境保全関係者がアンザリ湿原とほぼ同じ面積を持つ釧路湿原を訪れ、釧路の地元住民と行政の協力による環境保全の取り組みや環境教育、エコツーリズム等を学び、イランでの活動のモデルとしてきました。このような技術協力プロジェクトやJICA研修事業の人的交流をきっかけに、釧路湿原とアンザリ湿原地域に住む学生や市民の交流も、草の根レベルでささやかに育まれてきたのです。

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釧路市長を表敬訪問するイランの研修員

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釧路湿原で研修を受けるイラン湿原保全関係者

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釧路湿原で研修を受けるイラン湿原保全関係者

次世代に続け!湿原への愛と日本・イランの友好関係

今回の交流会には帰国研修員や両国の環境関係者の他、6歳から12歳の地域の子供達が参加。特に日本の子供達と交流ができるということでイランの子供達は興奮気味で「湿原で何をして遊びますか?」「そちらの湿原にはどんな動物が住んでいますか?」などと沢山の質問を投げかけ時間が足りなくなるほどでした。また市民の環境保全セッションでは、日本ではごみの不法投棄の管理はどう行っているのか等、市民レベルでの取り組みの議論が真剣に交わされました。いずれも短い時間ではありましたが、イランと日本の市民がお互いの国を知り、それぞれ身の回りの湿原の重要性を再認識した掛け替えのない貴重な機会となりました。国や文化が違っても、自然や生態系は人類不変の価値で大切な遺産です。国境を越えて人々が連携し、自然環境の保全に貢献していくことがラムサールの理念であり、これからも地元の人々の湿原保全への熱意を通して、両国の友好関係が発展してゆくことを祈ります!

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オンライン交流会の様子。イランでは直前に会場変更、停電や回線不調もありながらも無事終了

地域の湿原を絵に描き紹介するイランの子供達

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