関西から飛び立ち、途上国で頑張る!派遣中の協力隊を紹介します―Part32―【和歌山県】

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氏名:大谷 和
出身地:和歌山県
隊次:2021年度7次隊
職種:青少年活動

私は首都ナイロビから西に320km(車で約8時間)ほど離れたシアヤという町で、窃盗・売春・迷惑行為等の罪を犯した女性を収容し、約1年間の更生を目的とした指導や職業訓練を行う施設で活動をしています。このシアヤ女子保護観察施設には、主に妊娠中または子どもをもつ若い女性が子どもたちと共に収容されています。そこで、彼女たちに「社会復帰するための自立に向けた活動」、「心を豊かにする活動」を担っています。具体的には、町のテイラー(仕立屋)さんを回って頂いたキテンゲと呼ばれる布の端布を使って、社会復帰した際に自身で使えるもの、子どもと一緒に遊ぶことのできるものを手芸クラスで作っています。施設を出た後、厳しい社会の中で生きていくために、①端布を使って物を作るスキルを身につけてもらう、②制作物に向き合う中で少しでもリラックスできる時間を持ってもらう、③物を大切にする心を育んでもらう、ことを目的にしています。

1年が経過して

前回の投稿から1年以上が経過し、任期も残り2ヶ月を切りました。今回はこれまでの協力隊活動、任地での生活についてお伝えしたいと思います。

① 活動について

⑴ 収容者の女性たちへの活動

手芸クラスで女性たちとアフリカ布の端布を使った小物作りの活動を継続しています。それに加え、ビーズ作り、切り絵等のアート活動も行っています。また、女性たちが製作した作品の販売活動も行っており、ケニア国内で私たちの活動に理解を示して下さったナイロビ市内の2店の土産物屋さんとキスムという中規模の都市の土産物屋さんの3カ所に作品を置かせてもらい、販売しています。彼女たちは手芸クラスのルールにも慣れ、また、自分の作品を販売し、収入を得るという経験をすることで、集中して取り組むことのできる時間が増えたと感じています。さらに、自分の作品が売れるという経験が自己肯定感の高まりに繋がっています。売り上げに関してはすべて彼女たちに還元しており、出所後新たな生活を送るための資金になっています。「販売する」には質の向上も必要ですが、クラスで小物作りを楽しむことを優先して活動を続けています。クラス運営の仕方に関しては、端布を使った小物の作り方を洋裁と刺繍の教員に少しずつ引き継いでいます。またクラスの一環として、布ナプキンを作り、職員とともに布ナプキンについての講義を行いました。

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小物作りクラス

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布ナプキン作り

⑵ クラスに集中できる環境づくり

施設では収容者の女性とその子どもたち(4歳まで)が一緒に生活しています。私が配属された当初は授業の時間に子どもたちも共にクラスに入っていました。彼女たちはクラスに集中できず、子どもたちは座っているだけの状態でした。そのため施設の同僚と相談し、朝の時間に収容者のひとりが子どもをみる仕組みを作りました。現在は彼女たちも絵カードや本を用いて教えたり、歌やダンス、遊具で遊んだりと子どもの心を豊かにする活動をしています。今では彼女たちが交代で子どもたちをきちんと見ており、子どもを見るということに慣れてきた様子です。子どもが悪いことをすると、しつけとして叩く文化が根強いケニア。最近では子どもを叩くことがなくなったわけではないですが、口で説明している場面をよく見かけるようになりました。私の子どもとの関わりが、彼女たちの関わり方に影響を与えたのかもしれないと考えるととても嬉しく思います。

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電車ごっこをする子どもたち

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絵本を読み聞かせる女性と子どもたち

今では施設の同僚と相談し協力して活動を行う機会が多くなり、現地の声も取り入れながらより良い活動ができているのではないかと感じています。任期も残りわずかですが、彼女たちの施設での生活、出所した後の生活が豊かになるよう悔いの残らないように活動したいと考えています。

② 任地での生活について

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ニャティティを習っている様子

豊かな自然と人々に囲まれながら素敵な時間を過ごしています。シアヤの町に着いた当初は、「チャイニーズ!!」もしくは「ムズング!!(白人という意味)」と言われることが多かったですが、今では現地の名前で呼ばれ、あいさつをし、帰り道は町の人と世間話をして帰ることが日課になりました。
おおらかで陽気なケニアの人々にたくさんのパワーをもらっています。また、近くの村でルオ族の伝統楽器ニャティティを習っています。ルオ族とは私が住んでいるシアヤの町に多く住んでいる部族です。素敵な音色と村のゆっくりとした時間が流れる空間に惹かれ、休日に通っています。後少しでこの町を離れると思うとさみしいですが、残りの時間もシアヤの人々との関わりを大切に、過ごしていきたいと思います。