プロジェクトJP(ジャイカ・パナマ)第5回 パナマのゴミ問題について考える-スポGOMIパナマ開催支援「ゴミ拾いはスポーツだ!」-

2019年4月11日

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2019年3月23日(土)、パナマ市内水産市場近くの海岸通り"シンタ・コステーラ"において、一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ、パナマ清掃庁(AAUD)と連携し、ラテンアメリカでは初開催となる「スポGOMI in Panama」を開催しました。

スポGOMIは、参加者がチームを組み、定められた範囲で制限時間内にゴミを分別しながら得点を競い合うスポーツであり、これまでに日本国内外で800回以上の開催実績があるほか、2020年東京五輪・パラリンピック競技大会に向け、日本国政府が推進するスポーツを通じた国際貢献・交流事業"Sport For Tomorrow"にも認定されています。

主催者である一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブは、スポGOMIを通じて、日本人が持っている環境や公共財を大切にする精神文化を海外にも拡げることを目指しており、パナマから届いたゴミ問題や課題を受け、パナマの街の景観や住民の環境・公共意識改善等への貢献も目的に「スポGOMI in Panama」が企画されました。

今回のパナマ開催にあたっては、同社団法人の馬見塚代表他2名が日本から参加し、この取組みに賛同する在パナマ日本人、日本企業、そしてパナマにおけるJICA協力の長年のカウンターパートでもあり現在も青年海外協力隊とJICA帰国研修員(廃棄物管理分野)が協働して環境啓発活動を行っているAAUDとの連携を当事務所が側面支援するかたちで実現しました。

晴天に恵まれたイベント当日。JICA協力のカウンターパートや民間企業など各チーム5名程度からなる計13チームが参加し、パナマ人、日本人ほか参加者総勢約75名による『ゴミ・ヒロイ・ワ・スポーツ・ダ~!』の掛け声とともに競技が開始されました。

開催場所のシンタ・コステーラは散歩やジョギング、自転車などを楽しむ市民の憩いの場として、また、年間を通して各種イベントが開催される国の観光業発展にとても重要な場所として機能しており、AAUDによる毎日の清掃活動により比較的綺麗に保たれていると思われましたが、参加者からは「思った以上にゴミが多かった」との感想も聞かれました。

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開会挨拶する馬見塚健一代表(中央)とパナマ開催企画者の吉野倫典氏(左)

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護岸沿いにはペットボトルや発泡スチロール、レジ袋などの生活ゴミが散乱

1時間の競技時間を終えた各チームは、ゴミの種類ごとに分別された袋を持ち帰り、計量、そして結果発表。優勝は円借款事業で建設された下水処理場の運転維持管理委託を受けているパナマ民間企業チーム、第2位は在パナマ日系企業混合チーム、そして第3位はJICA帰国研修員を含むAAUDチームとなり、上位3チームにはそれぞれ賞品が授与され、「第1回スポGOMI in Panama」は無事終了しました。

回収したゴミの総重量は約54kg。その内訳はペーパー類(15.02キログラム)、プラスチック・ビニール類(14.2キログラム)、不燃物(11.4キログラム)、ペットボトル類(11.05キログラム)、使用済ストロー(1.26キログラム)、タバコ吸い殻(0.7キログラム)と、ストローやプラスチック容器、ペットボトルなど市民がスーパーや屋台で気軽に購入・持ち込みできるものがゴミとなっていること、また、草の茂みや護岸沿いなど視界に入りにくい場所にゴミが捨てられていることが見て取れ、参加者にも何らかの気づきがあったものと思います。

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タバコの吸い殻で一杯の袋を計量中

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使用済ストローの多さに気づかされる参加者たち

3R運動などの啓発活動によって市民の関心や意識は高まりつつあるものの、リサイクル、リユース・ビジネスも発達していない中でとにかくゴミを減らすことがパナマ喫緊の課題となっています。当事務所では、AAUDなどのカウンターパート及び関連機関と連携・協力し、引き続きパナマのゴミ問題改善に向け取り組んで参ります。

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JICAパナマ事務所スタッフも家族と参加

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東京五輪エンブレムTシャツをゲットした優勝チーム

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分別収集された全てのゴミはAAUDにより処分されました