【実施報告】開発教育教員ネットワークセミナー カンボジアから見えるわたしの姿〜子どもがつなぐ日本とカンボジア〜

2020年1月9日

12月22日(日)にJICA横浜にて教師海外研修OB/OG会のAsante!(注1)と共催し開発教育教員ネットワークセミナーを開催しました。今年度Asante!では、児童・生徒を対象にSDGs(持続可能な開発目標)の視点を取り入れたワークショップを実施してきました。今回のセミナーでは、電波科学を利用した地雷除去の研究をしている佐藤源之先生(東北大学東北アジア研究センター教授)をお招きし、佐藤先生の地雷除去の活動に関する講演や地雷探知の体験、佐藤先生と子どもたちとの意見交換を行うセミナーを開催しました。

(注1)Asante!(アサンテ)とは
Asante!は、JICA横浜のプログラムである、「教師海外研修」参加者を中心に設立した団体です。今では、青年海外協力隊出身の方や、一般の方など、幅広い方達を中心にして活動しています。ワークショップでは、小学生・中学生が参加し、世界で起こっている様々な出来事について考えます。子どもたちが主役のNGO、それがアサンテです。

<児童・生徒の学び見学編>

地雷探知システム「ALIS」の紹介をする佐藤先生

まず、東北大学東北アジア研究センター教授の佐藤先生より、電波科学を利用した地雷除去に関するお話をしていただきました。地雷除去の現場では地雷探知犬が活躍しているが、費用が掛かる等の課題があること、佐藤先生の開発した地雷探知システムでは、地中に埋められたものの形が分かり、地雷の発見につながることなどを映像や実演を通してわかりやすくお話しいただきました。実際に地雷を除去した土地が数か月後に農地となって作物が栽培されている様子を写真で見比べることで、地雷の除去が住民の生活に関わっていることを知り、子どもたちも地雷除去の意義を実感した様子でした。

話し合いの結果を全体へ発表

 
その後、小学生から中学生までの子どもたちは4つのグループに分かれ、グループごとに順番で佐藤先生の開発した地雷探知システムの体験を行いました。
また、体験活動以外のグループは、佐藤先生のお話をSDGs(注2)のゴールと関連させるワークショップを行いました。中学生を中心に各グループで意見交換をし、「土地を農地として使えるようになるのでSDGsゴールの15番が共通の意見」とランキング(注3)で共通点を確認したり、「地雷の除去によって11番の住み続けられるまちとなり、貧困や健康福祉、経済や産業などの目標につながっていくのではないか」と意見を関連付けたりしながら話し合いをまとめていきました。互いに意見を出し合い、認め合う様子が印象的な話し合いでした。

(注2)SDGsとは

(注3)ランキングとは

<参加教員同士で意見交換編>

児童・生徒の学び見学編について意見交換する参加教員

JICA横浜の中野職員より、JICAの事業や開発教育支援事業についての紹介を行いました。
その後、参加教員とAsante!メンバーとで、今回のセミナーの振り返りのための意見交換を行いました。参加教員からは、「電波科学を利用した地雷除去について、開発者である佐藤先生の話と実物を使った体験を通して具体的に知ることができた」「地雷の問題はまだ解決しておらず、国際協力を通して地道に取り組む必要があることを再確認できた」など佐藤先生の講演を通しての気づきを共有し、「子どもたちが各グループの話し合いで友達の意見を受け入れながら関連付けていて素晴らしかった」「子どもたちが身近に感じ、ジブンゴトとして捉えられることを大切にしたい」と今回のセミナーを教育者としての視点で振り返りました。

JICA横浜では1月に、国際理解教育/開発教育に関するセミナーを開催いたします。世界と子どもたちをつなぐ教育に興味のある方々のご参加をお待ちしております。