「第3回SICA地域災害対応・人道支援訓練」が開催されました

2023年6月16日

中米及びカリブ地域は、ハリケーン、地震、火山噴火などの自然災害が頻繁に発生する地域です。災害発生により自国のインフラが破壊された時、周辺国に緊急支援を要請し、物資供与や人命救助のための人員派遣が行われることもありますが、その場合、いかに迅速かつ的確な対応ができるかが、一人でも多くの命を救うカギとなります。

中米統合機構(SICA)の専門機関である中米防災調整センター(CEPREDENAC)は、中米のある国で大規模災害が起こったという想定のもと、中米諸国全体の参加による訓練を定期的に行っています。今年は、自然災害のみならず感染症やサイバー攻撃などがパナマで同時多発的に起こったケースを想定して、6月13日~16日まで訓練を実施しました。JICAはSICA地域への協力の一環として、訓練開始前日の 12 日に中米各国の防災担当機関のスタッフなどを対象にセミナーを実施したほか、JICA専門員による講演会の実施などを通じた協力を行いました。

SICA地域セミナー「SICA 地域における災害リスク管理の経験共有」

CEPREDENAC、パナマ国家防災庁(SINAPROC)、JICAの共催により、6月12日にパナマ市においてセミナーを開催し、パナマ外務副大臣、在パナマ日本国大使、CEPREDENAC 長官、パナマ国家防災庁長官、JICAパナマ事務所長の冒頭挨拶の後、日本、メキシコ、チリによる基調講演が行われました。日本からはJICAの横井専門員が登壇し、中米地域におけるこれまでのJICA協力の歴史とその成果について発表・共有がなされました。また、メキシコとチリは、現在JICAと実施している防災プロジェクトの概要を紹介しました。その後、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、ニカラグア、コスタリカ、パナマの代表が、JICAの防災協力の成果と今後の課題について発表し、最後にペルー、カリブ災害緊急管理機関(CDEMA)、メキシコ、チリ、グアテマラ、ホンジュラス代表によるパネルディスカッションにて、中南米・カリブ地域に蓄積されたJICA協力の成果を基礎に、途上国同士の経験共有である「南南協力」のツールを活用して、防災・災害対応の人材育成を継続する重要性が確認されました。

セミナーは、中南米・カリブ地域から約270名(対面160名、遠隔110名)の参加を得て、貴重な経験共有とネットワーク形成の場となりました。

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セミナー開会式の様子

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パネルディスカッションの様子

SICA地域災害対応・人道支援シミュレーションとJICAによる講演

13~16日は、マルチ災害発生の想定のもと、中米各国のみならずカナダ、メキシコ等からの救助隊も参加した訓練が行われました。同時並行して、国連やNGOなどによる各種セミナー・講演会が開催され、JICAからは横井専門員による講演会を実施し、防災分野におけるJICAグローバル・アジェンダの紹介や、日本の「防災道の駅」の事例紹介などを行いました。

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福島在パナマ日本国大使によるJICA講演会冒頭挨拶

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横井専門員の講演会の様子

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人命救助訓練の様子

中米津波警報センター(CATAC)によるオンライン研修

JICA は、訓練に参加する中米諸国とドミニカ共和国の計8か国を対象に、ニカラグアにある中米津波警報センター(CATAC)によるオンライン研修を訓練に先駆けて実施しました。CATACは、2016年から2019年にJICAの技術協力を受けて、地震・津波警報を発出するための地震観測・解析能力及び津波観測能力を強化しました。今年11月にはニカラグアで、中米諸国の防災庁や研究機関を招聘して、津波・地震警報システムの活用を推進するための研修を実施する予定です。

このような中南米・カリブ地域のこのような中南米・カリブ地域の防災協力の拠点を活用しながら、日本の経験を基にした防災協力を今後も続けて行きたいと思います。

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CATACによるオンライン研修の様子