西ジャワ州カラワン県にて、コメに対する収量インデックス型 農業保険パイロット事業のローンチング式を実施

2022年4月6日

インドネシア政府は3月9日、西ジャワ州カラワン県におけるAYII(収量インデックス型農業保険)のパイロット事業のローンチングを行い、関係者約70名が出席しました。JICAは技術協力プロジェクトである「農業保険実施能力向上プロジェクト」を通じて、2020年よりAYIIの設計・実施に係る技術支援を行っており、西ジャワ州カラワン県では2020年6月よりAYIIのパイロット事業が実施されています。ローンチング式は新型コロナウィルスの影響により約半年にわたり延期されてきましたが、今般、パイロット事業を通じて得られた成果と今後の計画などが話し合われました。

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カラワン県の関係者

JICAは2010年から気候変動対策能力強化プロジェクトの一環として、インドネシアにおける農業保険の普及に向けた協力を行ってきました。その後、2017年からは農業保険実施能力向上プロジェクトを開始し、既存のAUTP(実損補填型コメ保険)の改善・普及に対する支援に加えて、2020年からはAYII(収量インデックス型農業保険)の設計や導入に向けた技術支援を行っています。西ジャワ州カラワン県をパイロット地域とし、過去のコメの収量データの収集と分析、収穫量を確認するためのツボ刈り調査の実施支援、保険商品の設計から販売までを通じた技術指導や研修の実施、保険の販売ツールの開発や啓発活動など、様々な取り組みを行ってきました。

今回のカラワン県でのパイロット事業は、新型コロナウィルスの感染拡大により、広報活動や販売の機会が大きく制限されたため、目標加入面積を1,000ヘクタールと設定し、実際の加入面積は433.45ヘクタール(約300農家)でした。今回試行した一作期が終了し、保険に加入した農家のうち、収穫量が基準値に達しなかった115ヘクタールの農家グループに対し、国営保険会社JASINDOから合計35.7百万ルピア(約28万円)の保険金が支払われました(1ヘクタールにつき最高6百万ルピア≒4.8万円)。

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保険金をもらった農家グループ

次作期ではさらに目標地域や面積を広げ、中央ジャワ州ケンダル県でもパイロット事業を実施する予定です。ローンチング式では、各実施機関からも今後の展望について述べられました。BAPPENAS(国家開発企画庁)の次官代理であるArifin Rudiyanto氏は、「AYIIはインデックスの採用により、モラルハザードを防ぎ、圃場ごとに損害調査をする必要がないという利点がある。今回のパイロット事業が他の地域に対してもよい事例となりうると考えており、今後の活動に対して大きな期待を寄せている。AYIIのみならず、農業保険は国家中期開発計画(RPJMN)のなかでも重要な位置を占めており、さらにSDGsの目標2の『飢饉をゼロに』及び目標13の『気候変動に具体的な対策を』に貢献している。2013年の農業保険エンパワメント法に基づき、農業保険の更なる発展を目指したい。」と述べました。農業省農業インフラ設備総局長のAli Jamil氏は、「AYIIはインデックスを基準として支払いが行われることから、実施対象地をジャワ島内の灌漑地域から、さらに天水稲作圃場やジャワ島以外の地域で試行する必要がある。また、今後は既存のAUTPなどの農業保険をパイロット事業ではなく国家プログラムとして実施していきたい。」と述べました。

(注)インドネシア政府は公的農業保険においては保険料の80%を助成しており、今回のパイロット事業でも同じ条件下で、対象を2ヘクタール以下の農地所有農家とし、加入対象者、助成率ともにAUTPと同様の扱いとしました。今回のカラワン県での保険料は一律とし、1ヘクタールにつきIDR15.9万、その内80%を国が負担するため、農家による負担はIDR3.18万でした。

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