JICA理事長賞をシンド州教育局のフォーカルパーソンへ授与

2019年11月19日

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カジ氏に理事長賞を手交する古田所長

2019年11月19日、シンド州政府において、2019年度のJICA理事長賞を受賞したシンド州教育識字局の副局長のザフール・カジ氏に古田成樹JICAパキスタン事務所長から記念品が授与されました。

カジ氏は2009年から現在に至るまで、シンド州政府教育局に在籍し、この間JICAが教育分野のジェンダーや都市‐農村間格差を是正するために行ってきた事業において、シンド州政府内のフォーカルパーソンとして重要な役割を果たしてきました。

カジ氏が成功に大きく貢献した事業のひとつが無償資金協力「シンド州北部農村部女子前期中等教育強化計画」「シンド州南部農村部女子前期中等教育強化計画」です。本事業では、シンド州14県の54の小学校に、女子子生徒が通える前期中等教育施設の追加建設支援を行い、この協力により年間6600人の女子学生が前期女子中等教育を受けられるようになりました。以前であれば通える距離に学校がないことにより、前期中等教育を受けることをあきらめざるを得ない状況にあった女子学生が、基礎教育を超えて前期中等教育を受けられるようになったことにより、教師や医師、弁護士や警官など、将来の夢を大きく膨らませています。

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JICAの支援で建てられたモデル校のひとつ

この事業を実施するにあたり、最初は133の学校が支援対象候補として挙げられました。しかしながら、支援対象校や協力内容を絞り込む作業は簡単なものではありませんでした。カジ氏は133校すべての学校を日本から派遣された調査団と一緒に訪問し、検討に必要な情報を提供しました。そして、パキスタン関係者、日本関係者双方との信頼関係をもとに、プロジェクト計画の合意形成に貢献しました。

女子中等教育への支援の必要性は統計から明らかですが、具体的な協力計画を策定するためには、生徒や教師、その他の関係者との意見交換が必要不可欠です。そしてこの過程こそがパキスタン側、日本側双方の関係者間の友好関係を深めるものなのです。カジ氏は数えきれないほどの打ち合わせや細やかな情報提供によりこれを可能にしました。また、彼は実施段階においても支援を惜しまず、円滑な事業実施に貢献しました。このプロジェクトの成功は彼に大きく支えられたものです。