2019年度JICA海外協力隊(民間連携)等現場視察調査団(ベトナム)派遣報告

2020年7月21日

 JICA四国では四国地域の中小企業等のJICA民間連携事業の理解・応募促進およびベトナム概況の情報収集等を目的に、2020年2月9日から2020年2月15日にかけて、ベトナムにJICA海外協力隊(民間連携)等現場視察調査団を派遣しました。
 本調査団には開発途上国のビジネス展開に関心を有する四国地域の民間企業6社が参団し、JICAベトナム事務所等の現地支援機関、JICA海外協力隊(民間連携)活動現場、中小企業・SDGsビジネス支援事業を活用した日系進出企業、工業団地等を視察しました。本視察により、開発途上国におけるJICA民間連携事業活用の可能性やベトナムにおけるビジネス展開検討の一助となりました。本調査団の行程や参加企業等は下記をご参照ください。
 本調査団以外にも、JICAには民間企業の海外展開に係る支援制度がございますので、海外展開をご検討中の四国企業の皆さまはぜひ一度JICA四国にご相談いただければ幸いです。

JICA海外協力隊(民間連携)活動現場

マーケティング隊員の活動現場視察

 JICAボランティア事業の理解促進及びグローバル人材育成・獲得としてのJICA海外協力隊の活用促進を目的に、JICA海外協力隊(民間連携)の活動現場であるVietnam Rural Industries Research and Development Institute(VIRI)を視察しました。配属先であるVIRIは、ベトナムにおける地方産業の持続可能な発展を目指し1997年に設立、山岳地帯を主な活動地とし、少数民族の女性を中心とした生産者団体の雇用・収入安定等に寄与しています。本視察では、マーケティングアドバイザーとして現地で活動する隊員から、活動の状況や民間企業におけるJICA海外協力隊(民間連携)活用の利点・留意点等が説明されました。
 本視察を通じて、JICAボランティア事業について理解を深めるとともに、JICA海外協力隊(民間連携)の活用や協力隊経験者の採用について検討する機会となりました。

ハナム省ドンバンⅢ工業団地

管理棟での投資環境説明

レンタル工場

 ベトナムへの投資環境や日系企業への優遇制度に係る情報収集、投資検討に不可欠なインフラ状況や工業団地の施設整備環境の確認を目的にハナム省ドンバンⅢ工業団地を視察しました。ハナム省はハノイから約40kmの首都圏に位置、輸出入の玄関口であるノイバイ国際空港等にも好アクセスな立地や投資優遇制度、安定したインフラ環境や豊富な労働力に伴う安い人件費を背景に、日本企業を含む多くの外国企業を積極的に誘致しています。特に本調査団で視察したドンバンⅢ工業団地は政府認定の日系専用裾野産業工業団地であり、法人税や土地使用権等における特別優遇策に加え、レンタル工場や小面積からの工場建設用地の提供等をしています。本視察では管理棟にて投資環境の説明を受けた後、同団地内のインランドICD、レンタル工場、日系進出企業2社、HANAM VOCATIONAL COLLEG、ふぁみ~ゆアパートを視察しました。
 本視察を通じて、工業団地活用による進出メリットが理解されるとともに、調査団員からは進出ハードルの軽減に繋がる情報収集の機会となったとの声も聞かれました。

TAMADA VIETNAM CO., LTD.

工場見学の様子

 中小企業・SDGsビジネス支援事業活用の利点や課題、事業終了からビジネス展開に至るまでのプロセス等の情報収集・意見交換を目的にTAMADA VIETNAM CO., LTD.を視察しました。同社は2013年12月に玉田工業株式会社(本社:石川県)及びカワテックス株式会社(本社:北海道)により設立。親会社である玉田工業株式会社は、2012年公示中小企業・SDGsビジネス支援事業の案件化調査(調査名:「危険物貯蔵地下タンクの案件化調査」)および普及・実証・ビジネス化事業(事業名:「危険物漏洩対策に係る技術の移転を伴うSF二重殻タンクの普及・実証事業」)を活用し、SF二重殻タンクの普及や技術移転、法制度整備の推進等を実施しました。
 本視察では関係者との意見交換および工場等を見学し、調査団員からは中小企業・SDGsビジネス支援事業終了後のビジネス展開等について積極的な質問が寄せられ、自社と置き換えながら進出イメージを膨らませる様子が伺われました。

ESUHAI C0., LTD

教育・研修体制等の説明

ベトナム人生徒らとの交流

 技能実習生等送出機関による教育・研修体制、ベトナム人材送り出しにあたっての課題等、企業の受入体制構築に資する情報収集を目的にESUHAI C0., LTDを視察しました。同社はベトナム人材教育・研修、技能実習生派遣、高度人材紹介等を事業とし、日本語教育やビジネスマナー等を指導することで、日本への送り出しを行っています。JICAでは、民間活動支援を通じた経済協力を行う海外投融資により同社を支援しました。
 本視察を通じて、ベトナム側の技能実習生等送出機関の役割・体制を理解するとともに、調査団員からは卒業時の日本語レベルや高度人材の給与水準、技能実習生を採用する上での留意点等について質問が寄せられるなど、ベトナム人材獲得に資する有益な情報を収集する機会となりました。

調査団員の声(抜粋)

●JICA海外協力隊では、語学研修などの派遣前研修や派遣中の健康状態の管理·セキュリティ対策などのサポートを受けることができ、派遣する側としても安心して送り出せることから、今後そういった人材を育成する必要が出た場合には参加させてみたいと考えている。
●今回の視察先企業(TAMADA VIETNAM CO., LTD.・株式会社村上重機)様他、各機関・現場等のリアルな実態を学習させていただきましたので、十分参考にさせていただき、将来的には東南アジアへの販路拡大を目指して突き進みたいと考えております。
●ハナム省ドンバンⅢ工業団地は、政府認定の裾野産業工業団地であることから、初期投資を大幅に抑えることが可能。また、法人設立についてもすべて手続き面を行ってくれるなど製造業でベトナム進出を考えている企業には非常に利用しやすい環境であると感じた。


【本件に関するお問い合わせ先】
JICA四国 業務課 民間連携担当 湯本・夛田
TEL:087-821-8834  FAX:087-822-8870