所長挨拶

現在、気候変動、感染症を始めとする地球規模課題は多様化・複雑化しています。多くの国・地域の経済成長は減速し、国内外の経済格差は拡大しています。先進国での景気後退が懸念される中、一部の開発途上国は深刻な債務危機に陥っています。このような状況の下、各国・地域が直面する社会課題を解決し、持続可能な社会を実現することが重要になっています。

JICA四国は、1964年の海外移住事業団設立時の都道府県事務所設置に始まり、73年の都道府県事務所の12支部への統合による高松支部の設置と、74年の国際協力事業団高松支部への改組にさかのぼります。その後2018年7月にJICA四国(センター)に改組し、現在に至っています。JICA四国は、四国4県の皆様のご協力により、研修事業、海外協力隊事業、市民参加事業、民間連携事業、開発教育等の活動を行うことで、開発途上国における課題の解決に取り組んでいます。

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最近は「地方創生×SDGs」が大きなテーマにもなっています。2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」は開発途上国のみならず、193の国連加盟国で共有された目標です。日本も2016年5月、内閣府に持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が設置され、地方自治体も積極的にSDGsの推進に取り組んでいます。

四国各県に目を向けると、急速に進む少子高齢化に伴って様々な地場産業において労働力が不足しています。急増する外国人労働者をどのように受け入れ、共生していくか、多文化共生が大きな課題となっています。また、南海トラフ巨大地震の被害予測が注目を集めるなど、大規模な自然災害への対策を含め多くの課題に直面しています。一方で、四国の産学官民にはその自然環境と歴史や文化に培われた、多様で優れた技術やノウハウが豊富にあります。

JICA四国は、このような地域の特性から生まれた技術やノウハウを、開発途上国の課題の解決に結びつける「結節点」の役割を担っていきたいと考えています。また、JICA四国は、地球規模の視野で考え、地域視点で行動する(Think globally, act locally)、グローカル人材の輩出に貢献していきたいと考えています。

四国の皆様との対話・共創を通じて、地域に貢献する事業を実施してまいる所存です。そして、四国4県と開発途上国を繋ぎ、国内外の社会課題の解決に貢献する質の高い事業を実施してまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

JICA四国
所長 山村 直史