2023年1月26日
ザンビア共和国とコンゴ民主共和国(以下、「コンゴ民」)で実施中の「アフリカにおけるウイルス性人獣共通感染症の疫学に関する研究プロジェクト」(以下、「プロジェクト」)では、ウイルスの自然宿主やヒトへの伝播経路解明のために、感染症の発生地域で動物やヒトの検体を採取し、ウイルスや抗体を検出する活動を行っています。2021年12月にコンゴ民でM痘(旧称=サル痘)の発生が宣言されましたが、プロジェクトでは2022年2月と9月の2回、日本側プロジェクト実施代表機関である北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所の支援で、中央獣医学研究所(LABOVET)がM痘患者の居住地周辺の動物から検体採取を行いました。その後、LABOVETにてウイルスの検出を試みましたが、M痘ウイルスは見つかりませんでした。現在は採取した検体を用いて、別のウイルスの解析中です。
M痘ウイルスにはコンゴ盆地型と西アフリカ型がありますが、コンゴ民で流行しているコンゴ盆地型は、西アフリカ型より病原性が強く致死率も高いので警戒が強まっています。そのため、PCR診断の際に用いる陽性対照となる遺伝子を確保し近隣アフリカ諸国へ供給することを視野に、プロジェクト実施機関でもあるコンゴ民の国立生物医学研究所(INRB)とプロジェクトが協働で、ヒトの臨床検体からM痘ウイルスを分離することになりました。このウイルス分離については、プロジェクトのチーフアドバイザーである髙田礼人教授(北海道大学)が、11月下旬より2週間キンシャサに滞在し、現地研究者への技術指導を行いながら一緒に作業に取り組みました。また実験の合間を縫って、カウンターパートとプロジェクト活動進捗や今後の計画などについて話し合いました。また、ラボ用機材設置計画についてINRBより相談を受け、アドバイスをしました。
INRBラボで活動する髙田先生
INRBカウンターパートへの技術指導の様子
今回の出張は、ほとんどラボに籠りっきり
INRB所長
INRB副所長
LABOVET所長
Justin教授、コンゴ民国立教育大学獣医学部と北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所は、教育及び学術的交流と協力を促進するため、覚書(Memorandum of Understanding)を締結しました。
Ahuka教授とINRBで打合せ
Sheila教授とINRBで打ち合わせ