2023年3月22日
1.バングラデシュ国の首都、ダッカでは2022年12月に同国初の都市鉄道であるダッカ都市鉄道6号線が開業しました。ダッカ都市鉄道6号線は日本国の有償円借款事業により建設された都市鉄道路線ですが、同国には、これまで都市鉄道の運行経験がないため、本プロジェクトではダッカ都市鉄道6号線がダッカ市民の足として、安全で信頼性の高い鉄道システムとなるよう、ダッカ都市鉄道の運営組織であるダッカ都市交通公社(DMTCL)やその関係機関へ安全マネジメントシステムの構築を目的とした技術協力を行っています。
2.今回、本プロジェクトでは、インドネシア国のジャカルタにおいて第三国研修を実施しました。本第三国研修は、ダッカと同じく日本の支援により2019年に開業したジャカルタ都市高速鉄道(MRT南北線)の運営会社であるMRT Jakartaなどの協力を得て、運行開始から間もない時期に直面したトラブルやその対応策、MRTJが実施している安全マネジメントシステムをダッカ都市交通公社の研修生が学ぶことを目的として実施しました。
3.本研修ではMRTJが実施している安全マネジメントシステムの一環として、安全に関する企業方針、安全管理体制、内部安全監査、指差喚呼を含む現場での取り組み、安全に関する施設設備、救護体制、リスクマネジメントの方法、軌道・信号・電気の各施設設備を安全に運用するための工夫、各施設の警備体制、異常時における対応事例などが紹介されました。また、現場見学では車両基地の整備工場、運転指令所、乗務所、車両基地管理事務所など、実際にMRTJの従業員が働いている現場での安全活動や、施設配置など現場での取り組みについて、研修生は理解を深めました。特に、駅の見学は夜間に実施され、営業時間内に集団での見学が困難な駅構内の施設や設備、レイアウト、駅で実施されている安全に関する取り組みについて深い研修が行われました。
4.本プロジェクトでは、Osaka Metroの安全への取り組みや施設を学ぶことを目的とした本邦研修も行っています。今回の第三国研修の実施でDMTCLとMRT Jakartaとの間での友好関係を構築が可能となりました。また、JICAが先行して協力した国の力を借りて、共に第三国の都市鉄道の能力向上を支援するという展開が実現できました。JICAでは、引き続き、本プロジェクトを通じ、ダッカにおける安全な鉄道の運行の実現に向けて支援を続けていきます。
車両整備工場での安全活動見学をする研修生
消火機材の見学をする研修生
修了証を持つ研修生