プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)MRT6号線安全マネジメントシステム構築支援プロジェクト【有償勘定技術支援】
(英)The Project on Technical Assistance for Mass Rapid Transit Safety Management System of Line 6

対象国名

バングラデシュ

署名日(実施合意)

2020年8月4日

協力期間

2021年1月8日から2023年7月31日

相手国機関名

(和)ダッカ都市鉄道会社
(英)Dhaka Mass Transit Company Limited

背景

バングラデシュ人民共和国(以下「当国」という)の首都ダッカは、1990年から2015年にかけて人口が662万人から1,760万人まで増加しており(国際連合人口部、2018年)、人口増に伴う急激な交通需要の増大が慢性的な交通渋滞を引き起こしている。これにより、ダッカにおける車両の平均移動速度は時速6.4キロと東京都全域(時速14.7キロ)(国土交通省、2015年)の半分以下に留まっており、交通渋滞等に起因する大気汚染はPM10濃度(年間平均)が146マイクログラム/立方メートルと世界保健機構の環境基準(20マイクログラム/立方メートル~70マイクログラム/立方メートル)を大きく上回る水準にある。交通渋滞による経済損失は、年間3,868百万米ドルに上る等(水資源開発庁他、2013年)、当国の投資環境を悪化させ経済社会発展の大きなボトルネックとなっている。
当国政府は、本課題の解消に向け、2005年に20年間にわたる長期的な総合交通計画として、ダッカ都市交通戦略計画(Strategic Transport Plan。以下「STP」という。)を策定し、優先プロジェクトとして、大量高速輸送システム(Mass Rapid Transit。以下「MRT」という。)3路線及びバス高速輸送システム(Bus Rapid Transit。以下「BRT」という。)3路線が選定された。また、STPを受けて、JICAの支援により「ダッカ都市交通プロジェクト形成調査」(2008年)が行われ、MRT導入可能性の確認が行われるとともに、当時のMRTのうち最も需要が高く、かつ比較的安価で経済性が最も高いMRT6号線が最優先路線として選定され、ダッカ都市圏の輸送需要への対応を図り、もって交通混雑の緩和を通じたバングラデシュ国全体の経済発展への寄与及び大気汚染の緩和するために、ダッカ県南北ダッカ市に軌道系大量輸送システムである都市高速鉄道(MRT6号線)の建設が進められている。
本事業は、円借款事業で整備される都市高速鉄道(MRT)6号線等、都市鉄道の運行・維持管理を担うダッカ都市鉄道会社(DMTCL)に対し、日本の鉄道事業者が実施している運行安全マネジメント体制が組織内に構築されることを支援するものである。DMTCLの都市鉄道運営能力強化を支援することにより、安全かつ信頼のおける都市鉄道が実現し、ダッカ首都圏において自家用車などの私的交通から公共交通への転換が促進され、SDGs(持続可能な開発目標)ゴール11に貢献することを目指すものである。

目標

上位目標

ダッカ都市鉄道がDMTCLにより安全と信頼のもと運営・維持管理される。

プロジェクト目標

DMTCLによる安全マネジメント体制及び活動が継続的に実施される。

成果

1.安全に関して優先度の高い規程やマニュアルが作成される。
2.DMCTLにより安全に係る取り組みが実施される。

活動

1-1.安全に係る綱領と方針がDMTCLの管理職レベルで議論され作成される。
1-2.本案件の事業実施ユニット(PIU)が設立される。
1-3.PIUが安全に係る優先度の高い規程やマニュアルを決定する。
1-4.PIUがJICA専門家の支援により、安全に係る規程やマニュアルを議論・作成する。
1-5.安全に係る規程やマニュアルがDMTCL内で承認・決裁される。
1-6.安全に係る規程やマニュアルの実施運営に対するフォローアップ活動が実施される。
1-7.安全強化活動に係る広報活動が実施される。

2-1.承認された規程やマニュアルがDMTCL社内で共有・周知される。
2-2.安全内部監査体制が構築される。
2-3.緊急対応訓練が実施され、その結果を踏まえての安全管理計画の見直しが行われる。
2-4.DMTCLの内部統制が確立される。
2-5.MRT6号線の全線開業前にDMTCLによる安全マネジメント活動が評価され、専門家による助言が行われる。
2-6.構築された安全マネジメント体制と運営に関する広報活動が実施される。

投入

日本側投入

1)専門家派遣(合計約48M/M)
2)研修員受け入れ

相手国側投入

1)カウンターパート及び総務人材の配置
2)安全に関わる人材の雇用
3)案件実施のためのサービスや施設の提供
4)必要となる書類や記録の提供
5)Joint Coordination Committee(JCC)の開催