ピロリ菌迅速検査-イムノクロマトキット(ICT)の検査精度評価

2022年10月18日

2022年10月18日から24日、ブータン南東部のSamdrup Jongkhar県(Lauri村、Zangthi村)に王立疾病管理センター(RCDC)スタッフが出張しました。出張の目的は、ブータン政府の第12期5カ年計画(2018-2023)のフラッグシップ・プログラムで実施している胃がんスクリーニングに同行し、現在開発中のピロリ菌迅速検査-イムノクロマトキット(ICT)の検査精度を評価するためです。加えて、参加頂いた地域住民へ向け、ピロリ菌と胃がんの関係やピロリ菌の除菌治療に関する啓発を実施しました。

Lauri村とZangthi村はブータンの中でも特に隔絶された地域であり、スタッフは三日間をかけて現地まで移動しました。山間部にあるLauri村とZangthi村のPrimary Health Centreには、検査期間中923人の住民が集まり、ピロリ菌感染症に対する住民の関心の高さが伺えました。
Lauri村では、ピロリ菌迅速検査キットとして開発中の2つのイムノクロマトキット(ICT)を各500テスト準備し、その検査精度を評価しました。1つ目は、便中のピロリ菌を検出する便中抗原ICTで、約30%の住民が、現在ピロリ菌に感染していることが判明しました。2つ目は、血液中のピロリ菌に対する抗体を検出する血清ピロリ菌抗体ICTを用いて、ピロリ菌感染の既往歴が評価されました。その結果、約53%の住民が、過去にピロリ菌に感染していたことが分かりました。また、Zangthi村の住民には、ピロリ菌と胃がんの関係や除菌治療に関する啓発(教育介入)を実施し、服薬確認シートを配布しました。今後のフォローアップで、教育介入を行ったZangthi村と介入を実施しなかった他の村での内服状況を比較し、介入効果の影響を調査していきます。

今後、フラッグシップ・プログラムと連携し、除菌対象者に対する服薬順守率に関する調査が継続される予定ですが、今回の結果は、ピロリ菌感染症に関する適切な検査・診断・治療を提供できる体制を強化するための重要なデータとなります。RCDCスタッフおよびSamdrup Jongkhar県の現地医療スタッフの皆さん、ありがとうございました!

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検査受付(Lauri Primary Health Centre)

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検査受付(Zangthi Primary Health Centre)

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ピロリ菌迅速検査(Lauri)

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ピロリ菌迅速検査(Lauri)

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採血の様子(Lauri)

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ピロリ菌迅速検査(D、EおよびGのレーンが陽性)

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ピロリ菌感染症-啓発セミナー(Zangthi)