詳細計画策定フェーズの総括となる第2回合同調整委員会を開催
2023年7月26日
2023年7月26日、「政府のデジタル技術及びデータ利活用能力強化プロジェクト」の合同調整委員会(Joint Coordination Committee: JCC)が開催され、詳細計画策定フェーズの総括と本体協力フェーズにおける活動の内容について、関係者が合意しました。JCCには、JICA側は山田ブータン事務所長を筆頭に本部の関係者やコンサルタントが出席し、ブータン側はデチェン保健大臣を筆頭に、保健省の次官代行(Acting Secretary)や日本のデジタル庁に相当するGovernment Technology Agencyの次官代行等、プロジェクトの関係者が出席しました。
2023年2月から開始された詳細計画フェーズにおいては、主に3つの柱でプロジェクトが実施されました。
- 第一の柱は、ヘルスデータを活用し、医療サービスの高度化、産業の振興、保健分野におけるデータに基づく政策決定(Evidence-based Policy Making: EBPM)を目指すためのデジタルヘルス戦略の策定です。ブータン国民の健康に関する意識向上を促すとともに、データを活用して新たなヘルスサービスを育成することで、ヘルスケアや人々のウェルビーイングの向上と産業の育成を同時に実現することを目指しています。技術協力フェーズにおいては、ブータンならではの幸福に関する取組である国民総幸福度(Gross National Happiness: GNH)を踏まえつつ、デジタル・プロジェクトだからこそ取得できるデータに基づいて試行的取組が実施される予定です。
- 第二の柱は、メディカルバンク、ヘルスバンク、バイオバンク、ハウスホールドバンクを活用した具体的なユースケースのデザインです。ブータン国民が自分自身の健康状態を認識し、自らの健康やウェルビーイングを能動的に実現していくことを促すためのユースケースが検討されています。特にバイオバンクの活用については、2023年5月に行われたブータン政府一行による日本のバイオバンク視察も踏まえ、ブータンにおけるバイオバンクのあるべき姿や、あるべき姿を実現するためにどのような人材や資機材が不足しているかといった分析を進めていく必要性についても、JCCメンバーは合意しました。
- 第三の柱は、これらの戦略やユースケースを実現するためのデジタルヘルスプラットフォームのシステム要件定義です。デジタルヘルスプラットフォームは、データの利活用を推進しつつ、一方でデータの安全性を確保するという思想のもとに設計されています。また、ブータン政府が推進するePISプロジェクト等、既存イニシアティブとの連携も考慮されています。
- 本体協力フェーズにおいては、デジタルヘルスプラットフォーム、サービス、デバイスといったブータンにおけるデジタルヘルスを実現するために必要な要素の開発が、ブータン政府とJICA及びコンサルタントのみならず、ブータンの大学やITベンダー、日本の学術界等、様々なステークホルダーを巻き込む形で、実施される予定です。
JICAは今、デジタルを活用して、自らと世界を変革する取り組みを進めており、特にこれまで築いてきた国際協力のナレッジや人脈に優れたデジタル技術を掛け合わせて、様々な社会課題の解決に取り組みたいと考えています。ブータンにおいても、ブータンの人々や様々なステークホルダーと手を携えながら、まずはヘルスケア分野において、デジタル技術を活用した開発支援を推進していく意向です。
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