プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)政府のデジタル技術及びデータ利活用能力強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening Government Capacity for Using Digital Technology and Data

対象国名

ブータン

署名日(実施合意)

2022年11月16日

プロジェクトサイト

ティンプー及び全国

協力期間

2023年2月15日から2027年2月14日

相手国機関名

情報通信省・保健省

背景

ブータンは国民総幸福量(Gross National Happiness:GNH)指数という国際的にも稀有な開発指標を掲げる国であり、国民の幸福感や伝統的な文化を維持しつつ、地理的・気候的条件を活用した水力発電事業や農業などを中心に発展してきた国である。一方、農業離れが顕著な若年層(15歳~24歳)の失業率の増加(若年層失業率は2018年15.7%から、2021年20.9%に増加)や若者の頭脳流出が社会課題となっており、生産性と収益力の高い雇用を生む経済機会創出が強く望まれている。
その解決の糸口の一つとして、デジタル技術・データの利活用に大きな期待が寄せられている。例えば、2019年に施行された第12次5ヶ年計画では、従来の基幹産業である水分野に次いで「国家デジタル旗艦事業(Digital Drukyul Flagship Program)」に大きな予算を配分した。同計画によると、地理的・人口規模的に不利な条件を抱えるブータンにとって、デジタル技術が国民生活の質改善と、経済活動活性化に不可欠な要素としている。実際、97%の世帯が携帯電話を保有(内64.6%はスマートフォン)しており必要なIT環境整備も進められている。
かかる状況の下、JICAは「デジタル振興政策支援に係る情報収集・確認調査」(以下、「先行調査」)等を通じて、保健医療分野におけるデジタル技術・データ利活用の可能性をブータン政府と議論を重ねた。具体的には、医療・健康データの統合的管理と利活用を促す環境整備を行うことで、エビデンスに基づく的確な治療による医療の質向上に加えて、当該データ共有を通じた民間の医療関連産業振興や就業機会創出を実現したい、との意向が示された。
これを踏まえ、ブータン政府より、保健医療分野におけるデータ基盤の構築・統合とデータの利活用により、近年増加傾向にある非感染症疾患の予防等の健康課題の解決や肥大化する医療費の削減、及び健康関連サービスのイノベーション促進を新たな経済機会につなげることを目的として、本プロジェクトが要請された。

目標

上位目標

データ利活用により国民の多様な幸せ(GNH/Well-being)が実現されるという、次世代の成長の基礎となるブータン固有のデジタル経済社会の未来像が構想される。

プロジェクト目標

保健・健康関連データの利活用により保健医療サービスの拡充及び質の向上が達成される。

成果

1.[分析]保健データ利活用に係る現状及び課題・可能性が整理される。
2.[立案]ブータンデジタルヘルス戦略、及び具体的な保健データ連携基盤の整備計画(要件定義)が策定される。
3.[実証]保健データ連携基盤の機能がデータ収集・蓄積・利活用の試行実施を通じて検証される。
4.[構築]保健データ連携基盤及び利活用の実施枠組みが構築される。
5.[普及・成長]保健セクターを端緒としたデータ利活用の促進により、次世代の成長に向けたイノベーティブな取組みが実施される。

活動

活動1

1-1.保健医療セクター及びデータ利活用に係る政府戦略や方針等のレビュー
1-2.データ利活用の法規制に係る他国ベンチマークに照らしたブータンの現状分析
1-3.ICTインフラの現状及び開発計画のレビュー
1-4.保健医療セクターにおける既存システム(ePIS、HMIS、DHIS等)、共通機能(データハブや国民ID等)、及びその他の関連する技術上の基準のレビュー及び評価
1-5.ブータン政府・保健医療施設のデータ利活用体制の評価
1-6.ブータンで現在提供されているデジタル保健サービスやIoTデバイスの分析
1-7.上記を踏まえたブータンの保健データ利活用に係る現状及び課題・可能性の整理

活動2

2-1.デジタルアーキテクチャの競争・協調領域の定義による保健医療セクターの官民連携モデルの検討
2-2.将来の技術動向を見据えた保健データ利活用に係る法規制及びガイドライン案(サンドボックス制度含む)の作成
2-3.保健データとWell-being/GNH測定モニタリングの関連性分析
2-4.デジタルヘルス推進に伴う経済社会環境価値の分析
2-5.データ収集・利活用に係る主要ステークホルダー間の調整協議体の設立及び運営の開始
2-6.活動1の現状分析及び上記各検討を踏まえたデジタルヘルス戦略(ビジョン・ロードマップ・アクションプラン)の策定
2-7.デジタルヘルス戦略に基づく保健データ連携基盤の要件定義(4バンクのデータモデル、国民IDとの連携含むデータ仲介機能、APIの標準仕様等)
2-8.共通APIによる4バンク、データハブ、国民ID、アプリケーション間のサービスレイヤーでの相互接続の確認

活動3

3-1.保健データ連携基盤の一部試行開発
3-2.保健データ連携基盤の機能実証に係る複数ユースケースの特定(デバイス等を活用したデータ収集蓄積領域、データ分析・利活用等を想定)
3-3.ターゲットグループやデータポイントの定義(デジタルヘルスサービスのユーザのためのインターフェース、チャネル、フロー)
3-4.ユーザが保健データを効率的に入力するためのデジタルヘルスデバイスの試行
3-5.データを利活用したデジタルヘルスサービスの試行設計
3-6.保健データの収集・蓄積・利活用によるGNH/Well-Beingの健康関連指標に係る動的定量可視化とそれを踏まえたEBPMの試行設計
3-7.保健データ連携基盤の機能実証に係る複数ユースケースのパイロット活動実施
3-8.パイロット活動の教訓を評価して保健データ連携基盤のシステムデザインを検証し、デジタルヘルス戦略のロードマップ及びアクションプランを修正

活動4

4-1.パイロット活動を踏まえたシステム仕様・開発計画の修正
4-2.データセキュリティの観点で保険データ連携基盤をレビュー
4-3.保健データ連携基盤の本格開発・実装
4-4.医療施設及び全国民を対象に保健データを収集・蓄積するためのターゲットグループ拡大計画の策定
4-5.ブータン政府のデータ利活用・保健データ連携基盤運用保守に係る能力強化計画の策定
4-6.保健データの利活用・保健データ連携基盤運用保守に係る人材育成(教育機関と連携)
4-7.データ利活用に係るブータン政府の実施体制の構築

活動5

5-1.保健データの利活用に係る国民及びブータン政府の理解促進に向けた啓発活動の実施
5-2.競争領域(特にサービス・機能レイヤー及びアセットレイヤー)における民間企業の参入促進のための環境整備(規制枠組み・商業面でのインセンティブ等)及び民間企業、起業家、投資家に向けたマーケティング活動の実施
5-3.経済発展のためのデータ利活用によるGNH/Well-Being指標の動的定量可視化の可能性検討
5-4.保健データ連携基盤モデルの他セクター/分野への横展開を特定
5-5.イノベーション促進につながる他セクターのデータを特定
5-6.構築された保健データ連携基盤を土台とした他セクターにおけるデータ連携の可能性検討

投入

日本側投入

1)専門家派遣:(医療・保健に関するIT、ガバナンス、法制度、及び業務調整)
2)現地コーディネーター傭上
3)研修実施(ブータン国内、本邦研修、第三国研修、オンライン研修)
4)機材供与(必要に応じ)

相手国側投入

1)カウンターパートの配置
2)案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供