2022年3月10日
2021年秋学期から2022年春学期にかけて、立命館アジア太平洋大学(Asia Pacific University=APU)による国際ビジネス・人文学部(Faculty of International Business and Humanities=FIBH)の教員を対象としたファカルティディベロップメント(Faculty Development=FD)活動が実施されました。
FDは、大学教員の授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組や大学の理念を実現するための大学教員の資質改善・開発等を意味します。
今回のFD活動では、企画段階でFIBHの教員にアンケート調査を行い、特に関心の高かった1)教員の教育技法(学習理論、授業法、討論法、学業評価法、教育機器利用法、メディア・リテラシーの習熟)、2)カリキュラム開発、3)学習支援(履修指導)システムの開発、4)アセスメント(学生による授業評価、同僚教員による教授法評価、教員の諸活動の定期的評価)、5)教員の研究支援、6)自己点検・評価活動とその活用などの項目を中核としたFIBH教員のニーズを反映したプログラム作りを目指しました。また、アンケート調査の結果、教員は、「大学の理念や目標」については、関心を持っていないという課題も明らかになりました。そこで、プログラムでは「大学の理念や目標」の重要性を強調することになりました。
このような事前準備を経て、立命館アジア太平洋大学の大竹 敏次先生(国際経営学部教授)により、1)大学の理念と学習目標、2)カリキュラム開発、3)ゼミ及び教授法、4)研究の4単元、9セッションのプログラムが計画されました。1)大学の理念と学習目標、2)カリキュラム開発に関わる第1部4セッションは、各分野の代表教員6名に対して実施し、3)ゼミ及び教授法、4)研究に関わる第2部5セッションは全教員10名に対して実施されることになりました。
第1部は、2021年11月16日から2022年1月18日の間に、第2部は、2022年3月1日から3月9日の間に、次のような内容で実施されました。
【第1部の内容】
講義内容 | 単元 | 講師 | 実施日 |
---|---|---|---|
国際認証と大学理念 | 1)大学の理念と学習目標 | 大竹 敏次先生(国際経営学部教授) | 11月16日 |
国際認証の先にあるもの-APU経営学部のビジョン、ミッション、バリュー、学習目標- | 1)大学の理念と学習目標 | アルカンタラ ライラーニ ライネサ先生(国際経営学部長、教授) | 1月11日 |
2017年のカリキュラム改革 | 2)カリキュラム開発 | 大竹 敏次先生(国際経営学部教授) | 12月28日 |
2023年のカリキュラム改革 | 2)カリキュラム開発 | アカラデシルンスリー パジャリー先生(国際経営学部副学部長、准教授) | 1月18日 |
【第2部の内容】
講義内容 | 単元 | 講師 | 実施日 |
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APUの教育方法とサポート | 3)ゼミ及び教授法 | アカラデシルンスリー パジャリー先生(国際経営学部副学部長、准教授) | 3月1日 |
日本人教員から見た日本式ゼミ | 3)ゼミ及び教授法 | 大竹 敏次先生(国際経営学部教授) | 3月2日 |
国際的な教員から見た日本式ゼミ | 3)ゼミ及び教授法 | ハイダー アリ先生(国際経営学部教授) | 3月6日 |
国際認証評価と研究 | 4)研究 | 大竹 敏次先生(国際経営学部教授) | 3月7日 |
APUにおける研究支援と活動 | 4)研究 | バイセ ゼー マリアン先生(国際経営学部教授) | 3月9日 |
いずれのセッションにおいても、立命館アジア太平洋大学のこれまでの大学運営上の経験が具体的な事例を交えて説明されるだけでなく、現在大学が取り組んでいる課題などが共有されました。それに触発されて、各セッションのディスカッションパートでは、活発な議論が行われました。
全9セッション終了後には、フィードバック調査が実施され、参加した教員は大学理念を反映した教育目標の明確化とそれに基づくカリキュラム開発、自身の授業改善、国際認証獲得のために必要な活動に取り組んでいく必要性を指摘し、そのための具体的な方法や活動などが提案されました。今回のFDプログラムには、FIBHの全教員が参加し、参加者には修了証が授与されました。
このように、本プロジェクトでは、E-JUSTの国際ビジネス・人文学部が、日本の大学との協力関係のもとにユニークかつ質の高い教育を自立的に提供してゆけることを目指して活動に取り組んでおります。
2021年11月16日、国際認証について説明するAPU大竹先生
2022年1月11日、大学理念と学習目標を具体化させるプロセスを説明するアルカンタラ先生
2022年1月18日、カリキュラムマネジメントのプロセスを説明するパジャリー先生
2022年3月6日、ゼミの2年間の実施計画について説明するハイダー先生
2022年3月9日、APUにおける研究支援体制を説明するマリアン先生