2017年10月5日
本プロジェクトの第1年次に実施されたベースライン調査の結果、母子保健の現状と課題に関し以下の3点が挙げられました。
1.妊娠前期の受診が遅く、また多くの妊婦がコマドローナ(注1)に診てもらったと回答しており、保健省の規範・規則に沿った健診の実施を強化する。
2.医療従事者における妊産婦の危険徴候の知識が不足しており、緊急計画カード等(注2)の普及と実践を強化する。
3.子どもの発育阻害に関する母親の認識が低く、成長モニタリングを通じて、母親の意識改善を図る。
このような結果に基づき、「産前・産後のハイリスク」、「危険徴候およびリファラル」、「産科緊急時の初期ケア」、「子どもの成長・発達モニタリング」、「家族計画」、「小児呼吸器感染症・下痢症」をテーマとして取り上げ、プロジェクトのパイロット地区2箇所(サン・バルトロメ・ホコテナンゴ市、ネバフ市)にて、母子保健研修を開催しました。
研修には、2段階のカスケード方式を採用しています。第1段階では、ファシリテーターを養成するための研修で、保健管区事務所の技術チームや一次・二次保健施設の代表者が参加しました。続いて、第1カスケードの参加者が、研修ファシリテーターとなり、市保健管区事務所や一次・二次保健施設の保健人材に研修を実施しました。全体の参加者数は、サン・バルトロメ・ホコテナンゴ市で、45名、ネバフ市で40名でした。
これまでグアテマラでは、講義型の研修が多かったため、講義は最小限とし、演習に重きを置いた研修が行われました。研修実施後の満足度調査では、95%以上の参加者が「大変満足した」「満足した」と回答しました。参加者からは、「自分の業務に活用できる多くのテーマを学ぶことができた」、「この研修はとても重要だった。なぜなら、この研修を通して自分の業務で行っていた間違いに気づくことが出来た」との声が聞かれました。
今後は、研修に参加した職員たちが、それぞれの活動先でどのように研修で学んだことを活用しているか、モニタリング活動を実施していく予定です。
(注1)コマドローナ:グアテマラの伝統的産婆
(注2)緊急計画カード:妊産婦や新生児が病院診察を受けるべき危険兆候と、その際に家族がとるべき対応をまとめたカード。壁に貼ることができるようにポスター大のつくりとなっている。