ハイリスク妊婦さんの安全な出産のために

2018年9月5日

サンバルトロメホコテナンゴ市の保健センター(CAP)では、2018年1月にプロジェクトを通じて供与された超音波診断装置を用いて、妊婦健診が行われています。
同センターでは、ハイリスクと思われる妊婦さんを中心に、今年5月までに述べ105人の妊婦さんの診断を実施し、そのうち17人(約16%)に異常が見つかり、再検査、あるいは病院での出産を勧めることができました。
重要なことは、異常が見つかった妊婦さんが病院へ行くことです。適切な処置がなされなければ、母子ともに安全な出産が迎えられず、妊産婦や新生児の死亡につながりかねません。
プロジェクトでは、超音波診断を通じて病院での出産を勧められた妊婦さんのうち3人を選んで、健診後の妊婦さんと子どもの様子を確認しました。
2名の妊婦さんは、健診後に病院へ行き、病院で出産しました。その後、子どもも順調に育っています。グアテマラでは、伝統的産婆の介助による自宅出産の伝統・文化が残っていることから、多くの母親はリスクが高い妊娠と診断された場合でも、病院に診察にいくことが少ないと言われていますが、今回病院で出産をした母親に話を聞いてみると、病院での出産を肯定的に捉えていました。母親や母親の家族からは「もしまた出産することがあるならば、自宅での出産をしたいが、もし命の危険があるならば、病院で出産する」と意見が出され、病院での出産経験により、状況に応じて柔軟に対応していきたいと意識の変化がうかがえました。
もう1名は、超音波診断で胎児死亡が確認された妊婦さんでした。この妊婦さんは既往に糖尿病があり、コントロールの難しい妊婦さんでした。超音波装置を活用して胎児死亡を発見したことにより、妊婦の命の安全を確保することはできましたが、既往のある妊婦さんをどのように支援していくかという課題に気づくことが出来た例でした。
今後も、診断能力の向上とともに、妊婦さんの置かれた状態を全人的にとらえて支援していく取り組みを強化していきたいと思います。

【画像】

帝王切開で生まれた5ヶ月の子どもと家族。