2019年5月30日
プロジェクトを実施しているキチェ県から10名の保健医療従事者が来日し、5月10日から29日にかけて日本の母子保健と栄養改善のシステムや教訓を学びました。
実地研修は日本のプライマリ一・ヘルス・ケアの先駆となった長野県佐久市で行われ、参加者は、地方行政の保健サービスが体系的に計画、実施されていること、医療施設が常に整理整頓がなされていることなどに感銘を受けていました。
研修員からは当初は「日本とは教育レベルが違ううえに行政の予算も限られているので、グアテマラでは同じことをするのは到底無理」といったコメントを多くありましたが、研修が進み、日本が法整備やサービス改善に不断の努力を重ね、住民も自らの健康を守ることに積極的に関わってきたことを学ぶうちに、参加者の意識が徐々に変化していきました。参加者からの研修終了後のアンケートには「公衆衛生の現場に関わる我々自身がまず意識と行動を変えなければと気が付いた」「全てを日本と同じように実践することは難しいが、自分たちが出来る範囲で、改善の方法を積極的に見つけて行動をしていきたい」といった前向きな感想が寄せられました。
佐久市の訪問先では多くの市民と触れ合い、暖かく迎えられたことが印象深かったとのこと、研修終了時の挨拶では参加者代表が思わず涙ぐむといった場面もありました。多くの方に支えられて研修が実施され、技術面や政策面の学びのほかに、日本という異文化に触れ、参加者全員にとって充実した日本滞在であったことが伺えました。
帰国後は、参加者は研修で学んだことを地域や職場で共有し、各自が作成した「行動計画」に沿って改善の行動を起こしていきます。行動改善を促し、変革を起こすには時間がかかりますが、参加者の行動が、キチェ県、そしてグアテマラ国全体の母子保健と栄養改善サービスの改善を促すことを期待しています。