プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ナイロビ首都圏公共バス運営改善プロジェクト
(英)Project for Capacity Building for Bus Operation Policy and Management in Nairobi Metropolitan Area

対象国名

ケニア共和国

署名日(実施合意)

2021年11月3日

プロジェクトサイト

ナイロビ首都圏(ナイロビ郡、キアンブ郡、ムランガ郡、カジアド郡、マチャコス郡)

協力期間

2022年4月9日から2025年4月8日

相手国機関名

(和)ナイロビ首都圏交通公社
(英)Nairobi Metropolitan Area Transport Authority(以下、NaMATA)

背景

ナイロビ首都圏における最大の交通モードはバス・マタツ(40.6%)と徒歩(39.7%)となっており、都市鉄道が無い中、バス・マタツは主要な公共交通機関である。結果として、バスやマタツは自家用車を持たないスラム在住の貧困層がアクセス可能な、また女性の主たる交通手段でもあることから、貧困層・女性を含む社会的弱者の就労・医療アクセス等への機会を支えている。一方で時刻表の整備、定時運行等は実現できておらず、スピード超過、道路渋滞の頻発等から安全性に問題が指摘されるなど、そのサービスレベルは十分ではないため、ケニアの平均所得の増加と共に自家用車の比率が年々増加傾向にある。

上記に加えてケニア政府は、経済開発を3本柱の一つに据え、運輸インフラ分野における課題として、首都圏の交通渋滞を取り上げている。その課題解決に向けて国家運輸政策において、バスの定時運行の必要性、交通安全等の強化に向けて車両の大型化に加えて業界の適正化が必要とされている。

ナイロビ首都圏の公共交通の実態として、民間事業者が運行するバスやマタツ(座席数が35席未満の中小型乗合バス)が市民の足を担っているが、複数の運行事業者がルールや規制のないまま営業し、同一路線に重複してサービスを供給しており、その安全性やサービスレベルも低い。原因として運行事業者を管理するシステムや政策の欠如が指摘されている。一方、同地域のバスをめぐっては、国レベルや自治体レベルで複数の関係機関が存在し、重複業務も多いことが運行事業者を適切に管理することのできない原因の一つであると考えられる。ナイロビ首都圏において市民に信頼される安全で質の確保されたバスサービスが提供されるために、まずはバスシステムの管理体制の構築とその役割を担う組織NaMATAの能力強化が必要不可欠となっている。

目標

上位目標

ナイロビ首都圏のバスサービスの質が向上する。

プロジェクト目標

ナイロビ首都圏の公共交通における行政管理体制と多数存在する関係機関それぞれの所掌範囲についての理解促進が進み、NaMATAの能力が強化される。

成果

1.ナイロビ首都圏における公共交通サービスが分析される
2.ナイロビ首都圏における包括的な公共交通体系が検討される
3.持続可能な公共交通サービスの運営管理システムを構築する
4.行政機関及びバス事業者の能力が向上される
5.公共交通分野においてジェンダー及び交通弱者主流化に向けた持続的な体制が構築される

活動

1-1.既存の公共交通政策、戦略、マスタープランを入手・分析する
1-2.公共交通管理と運営に関する法や規制について分析する
1-3.現在の公共バス事業者の事業実態を調査・分析する
1-4.行政機関とバス事業者との役割分担について他国の事例を収集・分析する
1-5.ナイロビ首都圏における現在の公共交通サービスの問題点等を特定する

2-1.既存の交通需要と運行情報を入手する
2-2.公共交通の既存の交通需要を分析し、将来の交通需要予測を実施する
2-3.公共交通ネットワークを見直す
2-4.公共交通の運行計画及び運賃政策を見直す
2-5.包括的な公共交通政策を作成する

3-1.持続可能な行政管理体制とするためにステアリングコミッティ(以下SC)を立ち上げる
3-2.公共バス事業の行政機関とバス事業者の責任を見直す
3-3.公共バス事業者の組織体制・管理及び運営体制を見直す
3-4.公共バスの行政管理体制のプラットフォームを構築する

4-1.行政機関職員が公共バス政策及び計画に関する基礎知識を学ぶ
4-2.パイロットプロジェクトを通じて公共交通管理の経験を習得する
4-3.運営管理者や乗務員向けの教育プログラムを準備する
4-4.作成した教育プログラムに基づいた教育を実行する

5-1.ジェンダー/交通弱者配慮のワーキンググループを設立する
5-2.包摂性の高い公共バスサービスのためのパイロット活動を実施する
5-3.公共交通分野におけるジェンダー及び交通弱者主流化に向けた能力向上を行う
5-4.ジェンダー/交通弱者主流化に向けた持続的な活動実施のためのロードマップを策定する

投入

日本側投入

短期専門家

公共交通政策(バス)、バス事業経営管理/財務分析、ガバナンス、組織体制/法制度、交通計画/気候変動、バス運行計画/運賃政策、ジェンダー主流化計画、施設/交通安全、需要予測/路線計画、バス運営管理、バス車両管理、広報/研修計画、交通調査/モニタリング/業務調整

研修員受入

カウンターパートの本邦及び第三国研修

相手国側投入

カウンターパートの配置

プロジェクトダイレクター、プロジェクトマネージャー等

施設・機材

プロジェクト実施に必要なスペースの提供

プロジェクトにかかわる現地経費

プロジェクト実施に必要な支出(カウンターパートの人材に係る手当他)、プロジェクト実施に必要な運用経費(電気、水道、通信費等)