2019年1月7日
この冬2度目の雪が降った11月の夜、行きつけのレストランに入った中谷専門家が注文をしようとすると、いつものウェイトレスは注文そっちのけで、「テレビを見ましたよ!お客さんは、あんな素晴らしいお仕事をなさっていたのですね!」と話し始めたそうです。
JICAキルギス事務所は毎年プレスツアーを組んで、いくつかのプロジェクトの活動紹介をするのですが、今年は本プロジェクトも取り上げられました。11月15日の午後、この国の主要テレビ局数社が、本プロジェクトの協力酪農家サイトを訪れ、コーンサイレージ調製の出来具合確認や大麦ワラ調製方法を取材しました。これが、翌日各局のニュースでゴールデンタイムに放映され、そのウェイトレスさんもこれを見たということなのです。
飼養管理では夏に栄養価の高いコーンのホールクロップサイレージを調製して、良好な飼料が枯渇する冬場に備えます。また秋には、干し草を使ったヘイレージも調製します。今シーズン、本プロジェクトでは、通常のヘイレージ以外にも、尿素の化学分解時に発生するアンモニアを利用することによって調製できる大麦ワラ調製技術の指導も開始しました。本来はあまり寒くならないうちに行う作業ですが、当日は技術の紹介のために、その方法のデモンストレーションも行いました。取材クルーの皆さんは、中谷専門家が英語で説明しそれを通訳するサンジャール・ローカルコーディネーターの話を熱心にマイクで収録し、プロジェクトのカウンターパート達が行うデモンストレーションをカメラに収めようとその一挙手一投足を追いました。
全国放映の反響は大きく、多くの酪農家からの感想や技術指導依頼が入ったそうです。千里の道も一歩から、このような地道な活動が今後も広報を通して更に認知され、この国の酪農家の皆さんに喜ばれると良いなと思います。ちなみにこの日、中谷専門家の夕食には一品多くサービスの料理が付いたとか。
プレスツアーの当日は多くの取材クルーが訪れました
冬場の良好な飼料確保の重要性を説明する中谷専門家
秋口に仕込んだサイレージの風味を実際に食べて確認します
サイレージの温度や触感を確認します
サイレージのpH値をリトマス試験紙で確認します
実際に牛に与えて食いつきを見るために、コーンサイレージを掘り起こして牛舎に運びます
牛がコーンサイレージを喜んで食べているところをカメラに収める取材クルー
この協力農場のオーナーであるテンチク氏は、この飼料給与で実際に乳量が増えたことを取材クルーに語りました
尿素を使った大麦ワラアンモニア処理調製のデモンストレーション準備
尿素の水溶液を大麦ワラにまんべんなくかけて発酵を促します
かけ終わった後はビニールシートで全体を覆います
アンモニア処理ワラはこれで数週間寝かせれば出来上がりです