ラオスとGCF

2018年12月1日

緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)(注1)は、開発途上国の気候変動対策(緩和・適応活動)支援を目的したUNFCCCに基づく基金として2010年に設立が決定されました。その拠出表明額は2015-18年期間で約103億米ドル、昨年の条約国会議では追加拠出が各国より表明されるなど、気候変動対策資金の中心的役割を担っています。今回は、ラオスの森林・REDD+のGCF活用とF-REDDの支援に関する状況をお伝えします。現在、GCF準備資金、実施資金、そしてREDD+成果支払いの3段階に対してFAO、GIZ、JICAがそれぞれ中心的な役割を担っています。

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このうち、「REDD+と民間セクターの協調促進(FAO)」では、農林セクターやEmission Reduction(ER)プログラム(後述)における農業の「グリーン化」促進策の検討に対して、F-REDDの森林戦略や森林法改訂支援、REDD+支援との相乗効果を目指して連携して行きます。

「ERプログラム実施(GIZ)」では、FCPF炭素基金向けERプログラム(注2)の実施にGCF資金を活用すべく、GIZを認証機関(GCF資金の申請者)としてJICA、ADB、FAOなどが資金協調した案件形成が進んでいます。これが実現すると、JICAは中央レベルおよび北部2県に対する技術協力を提供し、現場活動にはGCF資金が活用されるので、3~4倍の支援レバレッジに繋がると期待されています。

「国REDD+成果支払い(JICAによる申請検討中)」は、国レベルで2015-2018年のREDD+成果に対する支払いの獲得を支援するものです。F-REDDは国家RELとNFMS支援を主導しているほか、国REDD+戦略策定にも貢献するなど、REDD+成果支払い4要件のうち3つに対して重要な成果をあげています。2018年~2019年には第1回国家MRVとUNFCCCへのREDD+成果報告の支援に向けた準備を進めており、その結果がREDD+成果支払いへ繋がれば、いよいよREDD+の資金メカニズムが具現化します。

このように、ラオスのGCF資金活用戦略に合わせてF-REDDの支援も進化していますので、今後もその動きを報告して行きたいと思います。

(注2)F-REDDはFCPF炭素基金排出削減プログラムの策定と採択に貢献し、その実施を支援中です。過去のニュースレター9号及び10号をご覧ください。

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