2013年7月30日
2013年6月30日現在の通算要請数は1,124、研修実施数は565です。6月1日〜30日の実績では要請数が136、研修実施数が117となり、過去数ヵ月と比べると、低調に推移しています。これは、この時期が対象住民の多くが従事する水稲栽培の収穫のため、農繁期にあたっていたためです(下表参照)。
そうした時期であるにも関わらず、改良かまど研修は要請数で28、実施数で38と、順調に研修が実施されました。当研修への集落住民の関心は、我々の当初の予想以上に高く、取手をつけて持ち運びに便利な形にしたり、薪用から炭用のかまどに改良したりと、住民独自の改良が見られるようになりました。
ライチの取り木研修が6月に始まりました。6月に6回の研修が実施され、7月以降も引き続き実施中です。今年度中に6,000本の取り木を準備し、少なくとも3,000本の取り木を生産することを目標としていますが、これまでのところ、計画ほど取り木準備の本数が伸びていません。これは、コミューンアニメータとライチ木のオーナーが契約を交わすなど、手続きに手間がかかることが一因と考えられます。今後、手続きの簡素化など、改善が必要となりそうです。
野菜栽培研修には6月に24の要請があり、35の研修が実施されました。これは乾期の野菜栽培時期に合致していたためと考えられ、葉物野菜が中心の研修が実施されました。研修が一段落した段階で研修講師が研修を実施したサイトの数カ所を回り、害虫や病気などの対策について助言をしました。
36の養殖研修の要請に対応するため、コミューンアニメータを対象とするトレーナーズトレーニング(TOT)が7月11日に実施されました。今後、コミューンアニメータが研修講師となり、オン・デマンドによる養殖研修(稚魚の放流から収穫まで)が実施される見込みです。
要請数と実施済み数 | ||||
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2013年5月31日現在 | 2013年6月30日現在 | |||
要請数 | 実施済 | 要請数 | 実施済 | |
合計 | 988 | 448 | 1,124 | 565 |
堆肥作製 | 188 | 117 | 207 | 128 |
養豚 | 139 | 105 | 147 | 117 |
改良かまど | 129 | 65 | 157 | 103 |
家禽飼育 | 147 | 83 | 161 | 98 |
野菜栽培 | 101 | 59 | 125 | 94 |
養殖 | 31 | 0 | 36 | 0 |
ライチ取り木 | 78 | 0 | 106 | 6 |
果樹 | 37 | 0 | 41 | 0 |
傾斜地土壌保全農法 | 18 | 10 | 19 | 10 |
傾斜地土壌保全—畑作 | 14 | 0 | 14 | 0 |
牛飼育 | 12 | 0 | 12 | 0 |
ラバカ対策 | 8 | 4 | 8 | 4 |
かんきつ類栽培 | 13 | 0 | 13 | 0 |
被覆植物、土壌保全 | 7 | 0 | 7 | 0 |
陸稲栽培 | 3 | 0 | 4 | 0 |
養蜂 | 11 | 0 | 12 | 0 |
植林 | 5 | 0 | 5 | 0 |
その他 | 47 | 5 | 50 | 5 |
昨年来実施してきた養殖研修の結果、稚魚の供給が養殖普及のボトルネックになることが判明したため、プロジェクトが主導して、稚魚の生産研修を実施することにしました。実施場所となるデモファームとして、(1)1アール程度の小型の池を少なくとも4つ以上有すること、(2)年間を通して水を供給できること、(3)年間を通して親魚に餌を与えることができること、という3条件を提示しました。その結果、アンパシケリー、アンボディラノ、アンテテザンタニの3ヵ所で実施することになりました。アンボディラノのデモファームにすでにロイヤルカープの親魚(3歳魚)が飼育されているため、7月30日にここで最初の研修を実施しました。
2012年10月にプロジェクトスタッフがアンテテザンタニを訪れたときに、ラバカ対策の相談を受けました。その時点ではまだ、オン・デマンド研修をどう実施するか、ラバカ研修は本当にできるか、などと話していました。その後、オン・デマンド研修としてラバカ対策、ラバカの堆積地の下での養魚、改良かまどなどの研修を実施しました。2013年7月現在、ラバカ対策は機能しており、養魚池も10に増えました。今後ここでは稚魚の生産研修も行われる予定です。
養殖研修が実施された場所以外でも養魚が行われています。そのひとつは、アンテテンザンタニの中心集落から少し離れたところで、尾根道で車を降りて、斜面を下った谷あいに大きな池が一つ作られています。池のオーナーは、アンテテンザンタニで行われた養殖研修の受講者です。また、この池に向かって降りて行く途中の斜面には、昨年作られたユーカリの苗が植えられていました。
一見してわかるような大きな変化ではありませんが、プロジェクトの働きかけが少しずつ動き始めているのがわかります。
※ラバカ=土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田に堆積することが問題となっている。
今年の植林研修が始まる前に、昨年の植林実績についてある程度の精度で把握する必要があるため、リードファーマーやコミューンアニメータを活用した調査を実施する予定です。今回の植林実績調査では、まず対象地域内の全戸(約12,000戸)を対象に、リードファーマーが各戸に今年の植林研修への招待状を配るときに簡便な聞き取り調査を行います。その後、全戸調査の精度をみることと植林現場を実際に確認することを目的に、バイクを有し機動力のあるコミューンアニメータを活用したサンプル調査を行うことを計画しています。全戸調査の実施は、7月下旬に開始しており、8月中旬までに終えます。サンプル調査は、8月下旬から9月初旬に実施します。
なし
7月3日 アンパシケリーで開催された堆肥づくり研修。アクティベーター(微生物活性資材)のにおいを確認する参加者。
7月9日 アンテテザンタニでのPMU会議事前フィールド訪問。昨年植林されたグラベリアの様子。
7月9日 アンボヒドロミイでのPMU会議事前フィールド訪問。右のかまどが研修時に作成したモデル。左のかまどが、炭を使いやすくするため、自分たちで改良をしたかまど。
7月10日 第16回PMU会議の開催。研修統括スタッフによる6月の研修実施状況の説明。
7月11日 アンバイボ事務所でのコミューンアニメータ向け養殖研修(理論)。今後の養殖研修は、要請に基づき、コミューンアニメータが実施する。
7月30日 アンドハラノでの稚魚生産研修(池準備・雌雄分け)。雌雄の見分け方を教えているところ。大きなロイヤルカープに参加者は大興奮。