2013年11月30日
今月はローカル・トレーナーが講師となり、各村での播種研修が一斉に開催されました。NGOが実施した同研修のモニタリングによれば、ローカル・トレーナーによる研修運営の質を一層向上させるために、当該NGOは、担当のエリア・マネージャーが研修実施前にローカル・トレーナーに研修内容の段取りについて確認することを徹底し、研修実施後に評価表を使ったフィードバックを行うことで、ローカル・トレーナーの能力を強化するように努めています。
植林研修同様に、ローカル・トレーナーによる改良かまど研修が実施されています。研修参加者の反応も良好で、実際に改良かまどを使用している住民からは薪燃料の軽減に貢献しているという報告がありました。
表1:特定テーマ研修実績表(2013年10月31日現在)
研修名 | 研修実績数 (2012年8月から 2013年10月) | 研修実績数 (2013年10月のみ) | 研修参加者数 (2012年8月から 2013年10月) |
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男性 | 女性 | 合計 | |||
播種研修(ローカルトレーナー育成) | 17 | 11 | 69 | 49 | 118 |
播種研修(ローカルトレーナーによる開催) | 200 | 200 | 1,968 | 1,373 | 3,341 |
改良カマド研修(インストラクターによる開催) | 210 | 9 | 2,052 | 2,032 | 4,084 |
改良カマド研修(ローカルトレーナー育成) | 17 | 4 | 43 | 62 | 105 |
改良カマド研修(ローカルトレーナーによる開催) | 90 | 78 | 644 | 760 | 1,404 |
合計 | 534 | 302 | 4,776 | 4,276 | 9,052 |
7日間堆肥づくり研修や野菜栽培研修、ロイヤルカープ養殖研修(親魚管理)等が実施されました。また、森林局と協働して野火対策研修が5サイトにおいて実施されました。森林局職員が講師となり、野火に対する法的規制の内容と、具体的な野火対策についての研修を行いました。
表2:オン・デマンド研修実績表(2013年10月31日現在)
研修名 | 研修実績数 (2012年8月から 2013年10月) |
研修 実績数 (2013年10月のみ) |
研修参加者数 (2012年8月から 2013年10月) |
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男性 | 女性 | 合計 | |||
ラバカ対策研修 | 5 | 0 | 104 | 13 | 117 |
ライチ研修(取り木) | 136 | 1 | 1,398 | 949 | 2,347 |
7日間堆肥づくり研修 | 148 | 3 | 1,605 | 1,225 | 2,830 |
土壌保全農業研修 | 10 | 0 | 179 | 130 | 309 |
陸稲研修 | 1 | 0 | 10 | 10 | 20 |
野菜栽培研修 | 117 | 3 | 939 | 943 | 1,882 |
養豚研修 | 146 | 2 | 1,351 | 1,149 | 2,500 |
家禽飼育研修 | 136 | 2 | 1,318 | 1,062 | 2,380 |
養殖研修(池準備) | 11 | 0 | 183 | 105 | 288 |
養殖研修(放流) | 5 | 0 | 96 | 63 | 159 |
養殖研修(育成) | 5 | 0 | 100 | 48 | 148 |
養殖研修(親魚管理) | 2 | 2 | 32 | 11 | 43 |
合計 | 722 | 13 | 7,315 | 5,708 | 13,023 |
2012年8月から2013年10月の研修実績数、および研修参加者数の数値を、実績に基づき修正しております。
ローカルNGO再委託契約による研修事業が実施され、間もなく2ヶ月が経過します。プロジェクトの方針や普及の原則を繰り返し伝えつつ、研修の実施方法を指導しながらローカルNGOの能力強化を図っています。また、より良い普及体制の構築を目指して新たな体制作りへの準備を進めています。
本プロジェクトの活動の一つにラバカから流失する土壌のコントロールがあります。大型ラバカについては、枠堰の設置など住民による土壌流失の防止活動ができないであろうという一般的な推測と、人口密度が比較的低い地域に分布するため、これまで低い優先順位が付けられていました。しかしながら、直近の文献調査で、ラバカからの土壌流失が下流域における土砂堆積に占める割合が大きいことを示す信憑性が高い文献が見つかったことと、PC23区に流れ込む河川、なかでもサハミライ川上流域に大型ラバカが多くみられるため、大型ラバカにも住民による土壌流失の防止活動で対応できるものがあるかどうかを調査しました。その結果、ラバカの直径は大きくても、その土砂の流失口は十分に狭く、さらにその下流に水田が分布し、直接土壌流失の被害を受けている農民がいるケースが見つかりました。これは、大型ラバカにも、当プロジェクトによる住民参加型のアプローチとコントロールの技術が応用可能であることを示しています。
(注1)ラバカ=土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。
在マダガスカル日本大使館公邸で開催された天皇誕生日レセプションの会場にて、政府関係者、国際機関関係者、民間企業など、多岐にわたる出席者に対しプロジェクトの広報活動を行いました。
12月3日 大石専門家離任
11月12日 PMU(Project Management Unit)事前フィールド訪問。ローカル・トレーナーによる植林研修後の苗畑をモニタリングしインタビューを行いました。
11月12日 住民が実際に使用している大小2種類の改良かまど。薪燃料の使用量が減ったという報告があり、良好に受け入れられています。
11月14日 インストラクターを対象にしたライチ取り木研修の様子。取り木処理からポットに移植する実習を行いました。今後はインストラクターが講師となり研修が実施されます。
11月15日 大型ラバカ調査時の様子。ラバカから流出する土砂の流失口は狭く、その下流に水田が分布しています。そのため土壌流失の被害を受けている農民が見られます。
11月25日 植林研修のうちの播種研修後の発芽状況をモニタリングしました。写真はアンバンジアツァーラ・フクタン(注2)にある苗畑。
11月26日 森林局と協働して実施した野火対策研修の様子。講師の森林局職員から、なぜ野火が発生するのかという問いに参加者がブレインストーミングしています。
(注2)フクタン=マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に当たる。