2014年1月31日
昨年10月から開始されたローカル・トレーナー(注1)による植林研修は、フクタン(注2)レベルでの播種研修に続き、第2段階であるポットへの移植研修が数多く実施されました。昨年12月には147ヵ所で移植研修が行われ、1月下旬にほぼすべての研修単位での研修が終了しました。移植研修の実施とともにローカルNGOによる植林ポット販売を試行していますが、販売開始時期の遅れから、現時点での販売状況はあまり振るわず低調です。
表1は、特定テーマ研修(植林研修・改良かまど研修)の2013年12月末時点での実績を示しています。
表1:特定テーマ研修実績表(2013年12月31日現在)
研修名 | 研修実績数 (2012年8月から 2013年12月) |
研修実績数 (2013年12月 のみ) |
研修参加者数 (2012年8月から 2013年12月) |
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男性 | 女性 | 合計 | |||
移植研修(ローカルトレーナーによる開催) | 211 | 147 | 1,853 | 1,201 | 3,054 |
改良カマド研修(ローカルトレーナーによる開催) | 118 | 1 | 875 | 960 | 1,835 |
合計 | 329 | 148 | 2,728 | 2,161 | 4,889 |
(注1)ローカル・トレーナー 村レベルで研修実施とモニタリングを担う。
(注2)フクタン マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に当たる。
雨季の時節柄、等高線に沿った生垣つくりやマルチング(注3)などの土壌保全農業研修と陸稲研修が実施されました。土壌保全農業研修については現在までのところ外部講師により実施されていますが、今後はエリアマネージャー(注4)による実施を検討しており、研修講師としての育成準備を進めています。エリアマネージャーが研修を実施することで、研修経費が削減され、住民の要望に迅速に対応可能な研修実施体制をつくることが出来ます。
(注3)マルチング(英語:mulching) 成長した牧草を刈倒し、被覆材として作物の周囲や耕地を覆うこと。土壌流出防止や表土の保温・保湿効果を高める技術。
(注4)エリアマネージャー コミューン(市)レベルでのプロジェクト管理を担当。主に担当地域の研修運営や、住民活動のモニタリングをローカル・トレーナーと協働して行う。
昨年12月から1月にかけて、ライチ取り木のポットへの移植研修が多く実施され、各集落でライチの苗木が作られています。当月は、苗木の定植に向けフクタンレベルでローカル・トレーナーに対するライチ定植技術の講師養成研修を開始しました。
ロイヤルカープ親魚を導入した3サイトのうち、1サイトでは稚魚生産に成功しました。プロジェクト対象地域では稚魚需要の高まりが見られ、今後、稚魚供給による収入源の多様化が期待できます。一方で、乾季の飼育水不足による稚魚の生育への影響や盗難防止対策など継続的な供給に向けた体制を整える必要があります。
表2は、オン・デマンド研修の2013年12月末時点での実績を示しています。
表2:オン・デマンド研修実績表(2013年12月31日現在)
研修名 | 研修実績数 (2012年8月から 2013年12月) |
研修実績数 (2013年12月 のみ) |
研修参加者数 (2012年8月から 2013年12月) |
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男性 | 女性 | 合計 | |||
ラバカ(注5)対策研修 | 7 | 0 | 118 | 29 | 147 |
ライチ研修(取り木処理) | 136 | 0 | 1,398 | 949 | 2,347 |
ライチ研修(取り木のポット移植) | 130 | 76 | 1,273 | 942 | 2,215 |
7日間堆肥づくり研修 | 151 | 1 | 1,634 | 1,254 | 2,888 |
土壌保全農業研修 | 13 | 3 | 209 | 155 | 364 |
生垣研修 | 7 | 7 | 55 | 59 | 114 |
陸稲研修 | 5 | 4 | 45 | 46 | 91 |
野菜栽培研修 | 119 | 0 | 961 | 956 | 1,917 |
養豚研修 | 149 | 0 | 1,365 | 1,171 | 2,536 |
家禽飼育研修 | 144 | 1 | 1,371 | 1,123 | 2,494 |
養殖研修(池準備) | 11 | 0 | 183 | 105 | 288 |
養殖研修(放流) | 5 | 0 | 96 | 63 | 159 |
養殖研修(育成) | 5 | 0 | 100 | 48 | 148 |
稚魚生産研修(親魚飼育) | 2 | 0 | 32 | 11 | 43 |
稚魚生産研修(採卵) | 2 | 2 | 31 | 5 | 36 |
野火対策研修 | 5 | 0 | 71 | 35 | 106 |
合計 | 891 | 94 | 8,942 | 6,951 | 15,893 |
(注5)ラバカ 土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。
2月に開始予定のライチ定植研修計画に合わせて、ローカルNGOと共にライチ苗木の全戸配布準備を進めています。苗木生産業者との供給調整や各村への配送拠点となる苗畑の準備、配送拠点から各村への効率的な運搬方法の検討を行っています。各村レベルではエリアマネージャーによるライチクーポンの配布が順次進められています。クーポンには研修日およびライチ苗木配布日が記入できるようになっており、住民への日時の周知と共に苗木の引換券となっています。
2月27日 池田専門家着任
等高線に沿った生垣づくりやマルチングなどの土壌保全農業研修時の様子。作成したAフレームに取り付けられた錘で地形の傾きを測っています。
稚魚生産研修(採卵)の様子。ロイヤルカープ受精卵の付着基盤を池中に設置している研修参加者。この後、水の懸濁が収まったら親魚を投入します。
アンパシケリーコミューンにある大型ラバカ内部の様子。視察に同行したインストラクターと比べると浸食部の大きさが明らかです。
ラバカ対策研修後、地域の住民が維持管理している土壌流出防止の柵。地域で収集可能な身近な材料を用いて更なる浸食を防止しています。
ライチ定植研修に合わせて全戸配布準備を進めているライチ苗木の見本。対象地域内の13,000世帯に苗木を配布する予定です。
1月29日 第1フェーズ3年次活動計画策定のための臨時PMU(Project Management Unit)会議の様子。普及体制の改変について説明しています。