2014年7月31日
6月は稲作収穫の終盤に当たり、住民の生活時間に余裕が生まれたため数多くの研修が実施されました。特にローカル・トレーナー(注1)による改良カマド研修は、6月の一ヵ月間で延べ79回実施され1,731名が研修を受けました。全体の研修参加者数でみると、5月・6月ともに一ヵ月間での研修の参加者数の合計は2,000人を超えています。ローカル・トレーナーとエリアマネージャー(注2)の連携により、各研修単位で多くの研修が行われていると言えます。また、改良カマド研修を受けた住民の中には、自らで使いやすいように更に工夫を加え二つ口の対になった改良カマドを作成した住民もみられました。
先月の報告で、新規活動対象地における改良カマドのローカル・トレーナー育成研修の実施について述べましたが、6月には研修を受けたローカル・トレーナーによる住民向けの研修も開始されました。新規活動対象地ではプロジェクトの広報活動を同時に展開しており、プロジェクトのアプローチや活動内容を周知し、住民とのよりよいコミュニケーションの確立に向けて、体制づくりを継続的に進めています。
表1は、2014年6月に実施されたカスケード研修の実績を示しています。
研修名 | 研修実績数 (2014年4月〜 2014年6月) |
研修実績数 (2014年6月) |
研修参加者数 (2014年4月〜 2014年6月) |
||
---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 合計 | |||
改良カマド研修 (ローカル・トレーナー育成) |
62 | 5 | 137 | 148 | 285 |
改良カマド研修 (ローカル・トレーナーによる開催) |
187 | 79 | 1,531 | 2,182 | 3,713 |
ライチ研修 取り木処理 (ローカル・トレーナー育成) |
46 | 16 | 117 | 96 | 213 |
ライチ研修 取り木処理 (ローカル・トレーナーによる開催) |
31 | 25 | 290 | 260 | 550 |
ライチ研修 定植 (ローカル・トレーナー育成) |
6 | 2 | 17 | 18 | 35 |
ライチ研修 定植 (ローカル・トレーナーによる開催) |
3 | 0 | 31 | 37 | 68 |
合計 | 335 | 127 | 2,123 | 2,741 | 4,864 |
(注1)ローカル・トレーナー=村レベルで研修実施とモニタリングを担う。
(注2)エリアマネージャー=コミューン(市)レベルでのプロジェクト管理を担当。主に担当地域の研修運営や、住民活動のモニタリングをローカル・トレーナーと協働して行う。
4名のエリアマネージャーが新たに選任されたため、エリアマネージャー会議の機会にPRRIE(注3)の原則およびCode of Conductに関する研修を実施しました。講師は各NGOのスタッフが務め、専門家はオブザーバーとして各NGOの理解度を併せて検証しました。Code of Conductの内容は、以前の3層式の組織を前提としているため、今後改訂することとしています。また、エリアマネージャーがこれまでの経験を活かし新たなバージョンの原案を準備することとしました。
(注3)PRRIE=研修を実施する際の基本原則。機会均等を保障した研修による参加型開発と資源管理(Participatory Rural development and Resource management by Integrated training for Equal opportunity)
7月9日から7月23日まで、今後のプロジェクトの方向性を検討する中間運営指導が行われました。中間運営指導調査団によるカウンターパートへの聞き取り調査や、プロジェクトサイトの現地視察が行われました。また、カウンターパートを交えて、PDM改定や今後のプロジェクトの方向性に関する協議を行いました。途中、現地視察にはJICAアフリカ部の職員2名にも参加して頂きました。
7月22日、中間運営指導調査団を交えて合同調整委員会を開催しました。議題は、1)プロジェクトの概要説明、2)中間インパクト評価調査結果発表、3)モデルユーザーマニュアルの骨子の発表、議論と承認、4)プロジェクトのPDM改定に関する議論と承認、5)中間運営指導調査団とマダガスカル側関係者の議論内容の確認と承認、6)JCCメンバーの見直しの6議案について行われました。
5,6月と環境省、農業省で大幅な人事の変更があったため、まずプロジェクトの概要説明と成果の発表を行い、JCCメンバーのプロジェクトに対する理解を深めました。続いて、今年度、第1ドラフト作成予定のモデルのユーザーマニュアルの骨子に関する議論を行い、承認を得ました。午後からは、県レベルや中央省庁関係者と議論を重ねてきたプロジェクトのPDMの変更に関して、再度の確認を行いました。5)についても、すでに、マダガスカル側との事前の協議を行っていたため、スムーズに承認されました。6)については、これまでのメンバーに加え、農業省に新設されたプログラム・プロジェクト調整ユニット局長と環境省森林資源開発局の流域管理植林課課長が新たに加わることが決定されました。
合同調整委員会での協議を踏まえ、4月末の新政権発足後に新任された環境省次官、森林総局長等の主要なJCCメンバー5名とJICAマダガスカル事務所所長がプロジェクトサイトを視察されました。1)改良かまど研修の視察、2)植林地視察、3)養殖と組み合わされたラバカ安定化サイト視察、4)ラバカ(注4)安定化研修が実施されたあとローカル・トレーナーの指導で住民が定期的に維持管理しているラバカの視察、5)ライチの取り木研修の視察、6)ライチの移植研修および苗木配布の様子の視察など、プロジェクトが実施している活動の概略を把握できる内容でした。環境省次官は住民に対して、研修での様子や生活に関する問いかけを行い、直接住民の声に耳を傾けておられました。住民の反応を直接感じられ、実際の研修を視察されたことは、プロジェクトのアプローチを理解するうえでよい機会となったと思います。
(注4)ラバカ=土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。
8月4日 野田専門家離任
8月6日 三浦総括離任
8月14日 池田専門家着任
8月26日 小川専門家着任
7月9日 新規2コミューンのコミューン長によるプロジェクトの活動現場視察(ラバカ対策のサイト)。
7月10日 アロチャ・マングル県森林局長による植林サイトのモニタリング。
7月16日 各研修単位で実施されている改良カマド研修の様子。ローカル・トレーナーが講師となり、使用する材料や配合する量、作成方法を教えています。
7月17日 中間運営指導における現地視察の様子。住民によるラバカ対策とその周辺の様子を視察して頂きました。
7月17日 中間運営指導調査団による現地視察の際に、養殖池から上げられた大きく育ったロイヤルカープの親魚。
7月28日 合同調整委員会の様子。対象県を拡大する広域展開に向けてプロジェクトの方向性を協議し、PDMの変更について議論を行いました。