2015年9月30日
エリアマネージャーによる住民活動のモニタリングの中で、複数のグッドプラクティスが見られました。具体例は以下のとおりです。
アンパシケリコミューンのアンパシケリフクタンでは、住民からの要請を受け、ローカルトレーナーが植林活動の重要な時期(種子の収集や播種など)を示す貼り紙を作成し、掲示しました。住民は、植林活動の内容や技術をすでに理解していますが、日々の仕事で忙しく、植林活動の最適時を忘れてしまうことが多いため、ローカルトレーナーに本要請を上げたとのことです。
ムララノクロムのタナンダバフクタンでは、住民間の交渉により無償でライチの取り木研修が実施されました。住民から同テーマの研修の要請を受けたローカルトレーナーは、ライチの親木を研修で使用させてもらうべく、親木の所有者と交渉しました。所有者への見返りは、生産した取り木を一定の割合で供与することであり、取り木生産の際にローカルトレーナーが技術的に親木の所有者を支援するというものでした。
グッドプラクティスは、エリアマネージャーとローカルトレーナーによるモニタリングの中で、同フクタン内の他の研修単位、さらには他のフクタンへと紹介されます。こうした取り組みを通じて、研修後の住民の活動の実践率やの持続性を高めていきます。
ライチ取り木技術と改良カマド・シャルボンブザカ(草本を材料として作製する丸形の炭)に関する住民向けの研修が、7月から引き続き実施されました。両テーマの研修は、2コミューンを合わせて82回開催され、延べ約1,200人の住民が参加しました。2015年6月から8月までの累計では、173回の研修が開催され、約2,400人の住民が参加しました(表1参照)。
研修名 | 研修回数 (2015年8月) |
研修回数 (2015年6月〜8月末) |
累積研修参加者数 | ||
---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 合計 | |||
ライチ取り木研修(住民向け) | 25 | 78 | 653 | 362 | 1015 |
ライチ取り木研修(ToT) | - | 3 | 12 | 3 | 15 |
改良カマド・シャルボンブザカ研修(注1)(住民向け) | 56 | 91 | 725 | 688 | 1413 |
改良カマド・シャルボンブザカ研修 (ToT) |
1 | 1 | 2 | 3 | 5 |
合計 | 82 | 173 | 1392 | 1056 | 2448 |
アクセスが困難なカテゴリ3(注2)に属するアンディラナトビーコミューンのアンボヒマシナフクタンとアンカシナフクタンにおいて、住民への啓発活動を実施しました。啓発活動は、大きく分けて次の4ステップからなります。
1)メガホンなどを用いた多数の住民向けプロジェクト紹介
2)プロジェクト活動を紹介するDVDの放映
3)住民向け研修のデモンストレーション
4)ローカルトレーナー候補の選定
1)では、プロジェクトの目的や活動と機会均等を軸としたPRRIEアプローチに関して、多数の住民に対して説明が行われました。2)では、両フクタンを合わせて190人の住民がDVDを視聴しました。3)では、両フクタンを合わせて92人の住民がカマド研修のデモンストレーションに参加しました。4)では、デモンストレーション研修への参加意欲や地域住民との良好な関係を基準として、両フクタンを合わせて7名のローカルトレーナー候補を特定しました。
9月以降は、ローカルトレーナー候補への講師育成研修、ローカルトレーナー候補による住民向け研修、エリアマネージャーと協力したモニタリングが実施される予定です。
(注1)草本を材料として作製する丸形の炭
(注2)アクセスの容易さの順に、対象地域を1,2,3のカテゴリーに分類している。第1フェーズではアクセスが比較的容易なカテゴリー1と2の地域のみで活動を展開してきた。
これまでの月報で既報のとおり、同調査は1)質問票調査、2)植林地踏査、3)ケーススタディの3つの調査からなります。9月中旬をもって、これらの調査に係る全ての現場調査が終了しました。それぞれの、調査の最終的な対象者数は以下のとおりです。
(注3)複数の樹種を同じ或いは隣接した植林地に植林しているケースが多いため、実際には物理的に離れて独立した植林地は202か所よりも少ない。
現在普及活動を展開中の改良かまどが、従来から住民に使われてきた三石のかまどに比べ、どの程度の薪の削減効果があるのかを実証するため、比較試験を実施しました。改良かまどと三石かまどを2つずつ並べ、第1回目の試験では、改良かまどと三石かまどの2つを用いて、それぞれのかまどで5人分の米(1.4kg)を炊き、続けて5人分のおかず(肉、豆、トマト:合計1.4kg)を作りました。5人分の食材を用意したのは、1世帯分の1回あたりの炊事を想定するためです。料理前にそれぞれのかまどに使う薪の重量を計測し、料理完了後に残った薪の重量は燃え残り分も加えて計測しました。また、両かまどが要した炊事時間を計測するとともに、炎の状態や煙放出の状態を目視観察しました。その後、第2回目の試験を異なる2つのかまどを用い、同量の米と食材で炊事して計測し、2回の試験結果の平均値を求めました。第1回目の試験では、2つのかまどに加え、今後の普及の可能性を探るため、ロケットストーブ(かまど)でも同量の食材を用いて計測しました。
実証試験の結果、炊事1回あたり三石かまどでは5.925kgの薪が必要だったのに対し、改良かまどでは2.525kgでした(2回の平均値)。このことから、改良かまどへの転換により、57.4%の薪を削減できることを実証しました。両者が要した炊事時間では改良かまどのほうが3分長く要したものの、要した時間全体の3%以下の差であり、ほとんど差異がありません。改良かまどからの煙の放出は、三石かまどに比べ大幅に少なくなりました。三石かまどに比べ、改良かまどの火は小さく、継続的に効率よく燃焼しているという印象です。また、ロケットストーブについては、はじめての使用で試行錯誤を繰り返したため、信頼性のある結果を得られませんでした。今後の更なる取り組みが求められます。
以上の結果と2015年7~8月に実施した質問票調査の結果から、以下のインパクトが想定できます。
9月9日のPMUにて、ラバカ対策研修の講師を認証する基準が、全会一致で承認されました。認証基準は以下の5項目からなります。
1)対象とするラバカが位置するフクタンの住民であること
2)ラバカ対策に関する講師育成研修を受講したこと
3)ラバカ対策に関する研修の講師を少なくとも1回は務めたこと
4)基本事項(地域住民から信頼されていること、自身が居住するフクタンを発展させる意思があること)
これらの基準にもとづき、10月以降、対象5コミューンでラバカ対策研修の講師の認証を進めていきます。
住友商事株式会社から贈与された植林用ポットのレセプションセレモニーを、アンディラナトビーコミューンにて開催しました。同セレモニーには、住友商事アンタナナリボ事務所、アロチャ・マングル県森林局、同農業局の代表者、プロジェクト関係者、ローカルNGO関係者、地域の有力者が参加しました。
セレモニーでは、住友商事の担当者からプロジェクト関係者の手を経てカウンターパート(森林局と農業局)へ、100万個の植林用ポットが引き渡されました。プロジェクト対象5コミューンの地域住民全世帯がポットを受け取る権利を有することになります。ポットの引き渡し後、住民向け植林研修のデモンストレーション、改良カマドの実践世帯への訪問、住民によって対策されたラバカを訪問しました。
今後のさらなる連携の可能性を探るべく、引き続き意見交換を進める予定です。
9月3日4日の両日、ブングラバのDRDA事務所にて、アロチャ・マングル県でラバカ研修を実施して経験の深いNGOの代表者(ジルベル氏)を講師に招き、ラバカ研修を実施しました。PRODAIREコーディネータの2名(DRDAジノ氏、DREEFリナ氏)のほか、CDR4名(対象地域の3名+1名)、DREEFから5名、DRDAから2名、イタシ県のPURSAPS(世銀プロジェクト)から2名を含め、20名ほどが参加しました。
初日の午前中にPRODAIREのローカルコンサルタントがPRODAIREとPRRIEアプローチについての概要説明を行い、午後に講師のジルベル氏がブングラバでの植林について説明、2日目はおもにアロチャでのラバカ対策の実践に基づき、具体的な手法について説明しました。イタシ県のPURSAPSから参加したスタッフ(エドモンド氏、サマッド氏)の2名をはじめ、フロアから盛んに質問が出て、議論が盛り上がりました。
次回はブングラバ県の対象地域にある複数のラバカを訪れ、ラバカの状態観察、ステークホルダーの状況、準備可能な資材などを調べたうえで、実際に対策を実施するラバカを決定します。その村を訪れ、そこでのステークホルダーとともに、実際のラバカ研修の日程を決めるまでを行います。同ラバカ研修は10月8日、9日の予定です。
10月11日 白石専門家離任
10月17日 小川専門家着任
アクセス困難地域での啓発活動の一環として改良カマドに関するDVDを上映(アロチャ・マングル県アンディラナトビコミューン)
住民による対策がなされたラバカと土地の所有者(アロチャ・マングル県アンディラナトビコミューン)
住友商事から贈与された植林用ポットのレセプションセレモニー。住友商事代表者からプロジェクトへの植林用ポットの引渡しの様子。(アロチャ・マングル県アンディラナトビコミューン)
住友商事から贈与された植林用ポット(アロチャ・マングル県ムララノクロムコミューン)
改良カマド実証実験の様子(アロチャ・マングル県アンディラナトビコミューン)
コーディネーターチームによるモニタリング風景(ブングラバ県)