2023年1月27日
2022年10月20日から11月2日にかけて、マレーシア国全人教育推進プロジェクト(MAKMur)の第1回本邦研修を実施し、15名のマレーシア人研修員茨城県つくば市を拠点に受講しました。
今年初めに計画を開始した際には、そもそも来日が可能かどうか、来日しても学校視察が可能かどうかも未知数でしたが、日本の水際対策の緩和及び関係者の多大なるご協力により、最終的には、講義・学校視察・ワークショップと、様々な活動を盛り込んだ研修を実施することが出来ました。
ほとんどの研修員は、来日自体も日本の小学校を見るのも初めての経験で、日本の学校ではどこでもある傘置き場、下駄箱、掲示物、給食の様子などを興味深く観察していました。特に、絵や習字など子どもの作品が教室や廊下に掲示されていることに関心を持っていました。学級活動や委員会などが児童中心で運営されているだけでなく、学校全体で子どもの主体性が重視されていることを目の当たりにして、マレーシアでの活動に活用する方法を検討していました。学校視察により、特別活動や全人教育に関する講義内容をより具体的に理解した様子でした。
また、『遊びを通して学ぶ』という幼児期の発達に即した日本の就学前教育を念頭に、『遊びを通して学ぶ』ワークショップを体験しました。手遊びや歌、ゲーム、お菓子の箱やチラシなどをあるものを使って作るお店屋さんごっこなどで、子どもがどのような能力を身につけていくのかについて実体験することにより、非認知能力と認知能力が相互に補完しながら伸びる環境を子ども達のために作るという方向性が見えてきたようでした。
さらに自主課題として、日本のどのような文化や習慣が全人教育と相互に影響を与えているか考察し、研修中に自分で撮影したビデオや写真をまとめた動画を作成しました。JICA筑波の貸出自転車が整然と並んでいる風景、大学や道の駅に設置されている細かい分別のごみ箱、駅で人々が列に並んでエスカレーターに乗る様子などが動画となっており、日本の日常と全人教育を結び付ける試みを通じ、研修員がより具体的に全人教育の意義を認識したことが示されていました。
このように、実際に自身の目で見たり、身体を動かしたりして体験したことは、研修員にとり大変有益なものとなりました。また、講義の場合も時間ぎりぎりまでディスカッションをしたり、講師も感嘆するほど多くの質問を投げかけたりするなど積極的に研修に参加する姿勢や、毎日夕食後に全員で集まり自主的な振り返りの時間を設けるなど、研修内容を体得しようという意気込みが、研修の質をより高めていました。
これから本プロジェクトはさらに活動を拡げ、マレーシアの関係者に広めていく段階に入ります。今後のプロジェクト推進に向けて、研修で得られた経験や気付きを生かしていくことが期待されます。
小学校視察1
就学前教育ワークショップ
小学校視察2
グループディスカッション