2021年12月23日
START2では、インクルーシブ教育を全国の学校へ普及することを目標の一つとしています。インクルーシブな学校作りに取り組み、全国のモデル校として活躍してもらうモニタリング対象校として、ウランバートル市内の25校を選定しました(注1)。これから2022年5月までの期間、それぞれの学校が策定した活動計画に沿って、インクルーシブな学校作りに取り組んでいきます。
今回は、その中の1校「オユニウンドラー統合校」の事例をご紹介します。
オユニウンドラー統合学校はウランバートル市バヤンゴル区に位置しています。統合学校として、他校のモデルとなるよう1997年に設立されました。1~12年生までが在籍しており、児童生徒数計5,000人を超える大きな学校です。
同校は、インクルーシブな学校への取り組みとして、以下3つの目標を設定しました。
1)校内委員会を設置し、障害児一人ひとりの発達の特徴、ニーズを正しく特定し、適切な教育サービスを提供するための計画を作成する
2)子どもの発達の実態に基づいて学校環境を改善し、学習できるポジティブな環境を構築する
3)一人ひとりの発達の成長を個別教育計画(※2)に沿って評価し、生活面と学習面での障壁を取り除く
上記の目標を達成するため、1)校内委員会による会議や研修、実態把握の実施、2)手すりやスロープ、リラックススペース等の環境整備、3)合理的配慮(※3)が必要な子どもも含めた学級マネジメント、4)合理的配慮が必要な子どもそれぞれに合わせた教材作成、5)個別教育計画による学習評価、という5つの活動を計画しました。
プロジェクトでは、各区の教育課のインクルーシブ教育担当官とともに、同校を含めた25校の活動をモニタリングしていく予定です。モニタリング対象校25校の取り組みから、インクルーシブな学校作りに関する好事例が生まれてくることを期待しています!
(注1)モニタリング対象校一覧は以下の通り
区 | 学校名 |
---|---|
バヤンゴル区 | オユニウンドラー統合校、第28学校、第113学校 |
ハンウール区 | 第26学校、第34学校、第75学校 |
バヤンズルフ区 | 第53学校、第79学校、第133学校 |
スフバートル区 | 第6学校、第16学校、第35学校 |
ソンギノハイルハン区 | ウヌル統合校、第104学校、第143学校 |
チンゲルテイ区 | 第17学校、第57学校、第149学校 |
バガノール区 | グンガルータイ統合校、ボロブスロル統合校、オユニエリン統合校 |
ナレイハ区 | 第109学校、第119学校、エルデミーンオルギル統合校 |
バガハンガイ区 | ハンガイ統合校 |
(注2)個別教育計画(Individualized Education Plan:IEP)とは、学習者ごとの発達の特徴やニーズ、状態をその時々にアセスメントし、そのアセスメントに基づき、長期目標、短期目標、学習内容、教員の支援、指導法などの計画、実施、評価を行う活動を一つにまとめて計画する書類です。モンゴル国では、2018年に教育文化科学スポーツ大臣令A/155にてそのフォーマットと作成ガイドラインが承認されました。
(注3)「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
教室の様子
支援が必要な子どもに対応する教員