2020年1月31日
2019年3月14日の夜から15日にかけてサイクロン・イダイがモザンビーク中部のソファラ州ベイラ市付近に上陸し、ソファラ州、ザンベジア州、マニカ州、イニャンバネ州を集中豪雨と強風が襲い、これまでに2,200名以上の死傷者、住宅損傷約24万戸という甚大な被害が生じています(2019年5月31日時点)。その中でも、ソファラ州ベイラ市は最も被害が大きかった地域の一つであり、学校などの多くの公共施設が損傷し、同地域は大きな損害を受けました。
このため、日本及び第三国(フィリピン、インドネシア)における復興事業の成功例や教訓、また災害に強い強靭な社会の形成に向けた具体的な取り組みから、モザンビークにおける復興や災害に強靭な社会の形成に向けて適応可能な事例を確認し、モザンビークにおける具体的な行動計画の策定に寄与することを目的として、2019年11月8日から11月13日にかけて、本邦招聘が実施されました。
内閣府を表敬訪問し、日本の防災体制等を理解し、市町村の防災計画等について理解を深めました。具体的には、日本国内でのこれまでの災害とその防災活動などの経験を共有し、内閣府・復興庁・各担当省庁の役割に係る説明を通して、モザンビークでの復旧・復興政策をどのように進めていけばよいか参考にしてもらいました。
内閣府による講義の様子
参加者による集合写真
サイクロン・イダイからの復旧・復興対策として、防潮堤の建設や排水路網の改善等のインフラ整備等のハード対策の検討に加えて、対サイクロンのタイムラインの作成や避難計画の作成をJICAが支援します。このため、日本での取り組み事例として、常総市の現地視察を行い今後の参考にしてもらいました。
常総市役所での講義の様子
鬼怒川破堤箇所において破堤直後に設置した石碑の現地視察状況
市役所での浸水対策(予備電源の浸水防止壁)の現地視察状況
防災意識の醸成や災害に関する知識の向上を目指した防災教育を、避難訓練等で取り入れることを想定しています。このため、防災教育における考え方や見せ方を学ぶため、仙台市の荒浜地区を訪れ、防災教育及び震災教訓の伝承のために設立された施設を見学しました。
震災の概要説明の様子
被災現場(震災遺構仙台市立荒浜小学校)の現地視察
災害教訓伝承施設の見学
本プロジェクトでは、復興計画を具体的なアクションプランまで落とし込むことを支援します。そこで、世界防災フォーラムにおいて、各国が策定する防災計画の具体化のために必要な方策について議論するJICA主催セッションに参加し、JICA中部スラウェシ州復興計画策定及び実施支援プロジェクトの関係者との意見交換会などを通して、具体的なアクションプランの作成に向けた取組について理解を深めました。
パネリストとして登壇したペレイラ長官(左)
他国参加者との懇親会の様子
宮城県東松島市では、東日本大震災後の防災教育・震災教訓の継承、多重防御や土地利用規制の復興まちづくりの整備状況、被災者の移転地、生業回復に関する支援状況について講義と現地視察を実施しました。
東松島市での講義・討論の様子
月浜での防潮堤の整備状況視察
集団移転地の整備状況視察
本邦招聘の報告と今後のプロジェクトに関する意見交換のため、JICA本部を表敬訪問しました。JICA萱島理事からのご挨拶に続き、モザンビーク国復興庁ペレイラ長官より、日本のおける視察を終えて感謝の言葉が述べられた。また、ハザードマップ整備の重要性とハザードマップを活用したハード整備とソフト対策の重要性について理解できたことと、行政職員等の能力強化の重要性について述べられました。JICA社会基盤・平和構築部の安達一部長より、モザンビークがJICAにとってアフリカにおける災害後復旧と強靭化を目指す初めての取り組みであり、同国がアフリカ地域において防災の分野をリードすることに対する期待の旨が伝えられました。在日モザンビーク大使館のモライス大使からも、モザンビークにおける復興への日本の支援に対する感謝の言葉が述べられました。
表敬の様子
集合写真