2018年9月14日
本プロジェクトのサブプロジェクトである優先緊急復旧事業(Quick Impact Projects、以下QIPs)において、4件の村落開発委員会(Village Development Committee、以下VDC)事務所の再建を実施しています。VDCは以下の活動を行っており、日本の役場のように住民生活に欠かせない存在でした。
・行政サービス(出生記録、死亡記録、婚姻届、転出届、市民権証明書発行等)
・予算や資金の執行(開発活動、教育、保健衛生、能力開発、農業支援等の訓練)
・他委員会の活動調整 など
特に震災後は、ネパール政府による住宅再建支援給付金の申し込みの窓口として、重要な機能を果たしました。
2018年9月現在、3件のVDC事務所が完成し、各VDCに引き渡され、1件が工事中です。ネパールでは、行政機関の再編により2017年3月にVDCは解体され、各市がその機能を引き継いでいます。事務所も旧VDCから各市に引き渡され、該当する区の区役所として利用されています。今週から3週にわたってそれぞれの近況について紹介していきます。
トカルパVDC事務所の再建は全QIPsの中で最初に完了した案件で、引き渡しから1年以上が経過しています。
現在はスンコシ市第1区が本施設を使用しており、区長であるネトラ・カーキ氏より、「近隣には広い屋内スペースがないため、この施設で様々なミーティングやトレーニング、セミナーが2日に1度くらい実施されています。また、街から離れているため、プリンターやWifi等のサービスを無料で提供する等、周辺住民の憩いの場となっています。この施設は地域を活性化させており、モデルケースとして他の地域にも広めるべきものだと考えています。」との嬉しい言葉を頂きました。
また、隣には図書館が建設され、病院や警察署の建設も計画される等、本施設を中心として周辺地域の復興が進められるようです。
引き渡し時の様子
施設全景
第1区区長のネトラ・カーキ氏
野菜栽培トレーニングの様子
トカルパVDCでは、復興を促進するため事務所の再建とセットで耐震施工技術トレーニングを実施したため、地元被災住民として参加した3名にインタビューを行いました。震災によって自宅がほぼ全壊した3名は、トレーニング参加後、そこで得た知見を活かして自宅の再建を行いました。現在では3名全員が耐震性の高い自宅に暮らし、「トレーニングで得た知識を積極的に近隣住民にも広めたいです。」という頼もしい言葉も聞かれました。住民同士で防災・減災意識を高め合い、地域に根付かせていくことが期待されます。
トレーニング参加者へのインタビューを行いました
トレーニングで得た知見を活かして再建した自宅を誇らしげに見せてくれました
トカルパVDC事務所のサイト位置図(シンドパルチョーク郡)