2022年11月8日
ネパール参加型地方復興プロジェクトは、ゴルカ郡とシンドパルチョーク郡の4つの地方自治体を対象に、コミュニティレベルで災害に対するレジリエンスを高めるべく、地域住民の防災能力の強化に取り組んでいます。今回はそのいくつかの活動例を紹介します。
2022年3月、日本のNGO(SVA:シャンティボランティア協会)が作成した紙芝居を使って、1)どうして地震は起こるのか、2)もし学校で地震が発生したら、3)土砂災害について、4)地震はいつ起こるの、5)落雷や火災に気をつけて、の5テーマについて、対象地域の住民や学校の子供達を対象に紙芝居を行いました。地域住民からは、忘れかけていた地震の怖さや防災の重要性を再認識することができたという声が上がった他、紙芝居から学んだ成果を近隣コミュニティに広めることで、更なる地域レベルでの防災活動の強化に繋げる取り組みも進んでいます。
次に、コミュニティ防災に関する研修をゴルカ郡で実施しました。当研修の特徴は災害に関する知識を身に着けるだけではなく、被災時における具体的な行動を、実践を通して身に着けることにあります。研修に必要な機材・道具は、外から持ち込むのではなく、出来るだけその地域にあるものを活用しました。具体的には1)避難訓練、2)応急手当(骨折の場合)、3)応急手当(出血の場合)、4)ベッドシートを使った担架、5)防災マップ、6)住民による共助、の6つのテーマについて研修を行いました。
これらの研修には計203名の住民が参加し、その約90%は女性でした。研修を通して、人々は地震、土砂災害、洪水、火災といった様々な災害に備えることの重要性を学び、ハザードマップを作成して、それぞれの地域にどんな災害リスクがあるのかを議論しました。また、災害時における住民同士が助け合う共助の活動の重要性を理解し、そのためには常日頃からの共同体としての意識の向上や良好な人間関係の構築が必要であることについて話し合いました。今後は、全ての区(ワード)に設置することが義務付けられている区防災委員会のメンバーを中心に、地域の中に防災啓発や能力強化を担うリーダーを決め、防災リーダー育成研修を実施する予定です。こうした地域のリーダーが、近隣のコミュニティにさらにその知識やスキルを伝えることで、地域住民の間で更なる防災意識や能力の高まりと、地域全体での災害に対する備えの強化が期待されます。