(和)地方自治行政能力強化プロジェクトフェーズ2
(英)Project for Strengthening Municipal Management for Local Development Phase II
ニカラグア
2017年9月6日
2018年1月19日から2023年1月18日(計60ヵ月)
(和)地方自治振興庁
(英)Nicaraguan Institute for the Promotion of Municipalities(INIFOM)
ニカラグア共和国は、1998年に制定された地方自治体法を皮切りに地方自治の制度基盤を整備してきた。2012年には同法を改正し、貧困層に裨益する地方行政の実現に取り組んでいる。また、同国の国家人間開発計画(Plan Nacional de Desarrollo Humano、以下「PNDH」)においては、各地方自治体の人材能力強化、及び組織強化を通した行政サービスの向上が優先課題として掲げられており、地方自治体には中長期的な視点をもった1)市長期開発計画(計画期間10~15年)、2)市中期開発計画(Plan Municipal para Desarrollo Humano、以下「PMDH」計画期間4~5年)の策定、またそれに基づく3)市年間事業計画(Plan de Inversión Anual、以下「PIA」)の策定が義務付けられ、その円滑な実施が求められている。こうした地方自治体政策の推進を担うのが、地方自治振興庁(以下、「INIFOM」)であり、INIFOMは、地方自治体が運営・監理する各種事業の実施に係る技術支援や促進、モニタリングの役割を担っている。しかし、INIFOMの地方自治体への支援能力は脆弱であり、同時に地方自治体による中長期開発計画やPIAの策定・実施・モニタリング・評価等に係る経験も十分でなく、それらを実施するためのマニュアル類も限られており、円滑な事業実施が困難な状況にあった。
こうした状況において、PMDH策定の持続可能な仕組みを導入するため、2015年1月から2017年1月まで、技術協力プロジェクト「地方自治行政能力強化プロジェクト(以下、「FOMUDEL1」)」が実施された。同プロジェクトではパイロット9市(以下、「FOMUDEL1パイロット市」)に対し、1)PMDH策定手法・ガイド、2)PMDH策定のための研修プログラム及び研修教材が作成され、INIFOMはこの手法を全国に拡大することとした。しかし、同手法の普及には、地方自治体への研修や研修後のフォロー・進捗監理を担うINIFOMの実施能力・体制のさらなる強化が必要であり、また、地方自治体においては、策定後のPMDHとPIAの連動など、PMDHの効果的な運用方法の構築が望まれている。これらINIFOM及び地方自治体が抱える課題に対応するために「PMDHの策定・実施・モニタリング・評価及びその結果の次期計画へのフィードバック」にかかる一連のサイクルを確立させ、INIFOM及び地方自治体のさらなる体制構築と能力強化を進める必要があるとして、ニカラグア国政府は我が国に支援を要請した。
1.指標及び目標値:パイロット市がPMDH総合的マネジメント枠組みを実践し、市の中長期的な開発ビジョンの達成に向けて効果的・効率的に事業を実施している。
2.PMDH総合的マネジメント枠組みの全国展開に向けた普及が進む。
パイロット市において、PMDH総合的マネジメント枠組みが定着し、また全国の市が同枠組みを実践できるよう、INIFOM(本庁・地域事務所)及びパイロット市による支援のための制度・体制が構築される。
1.PMDH総合的マネジメント枠組みが構築される。
2.INIFOM(本庁及び地域事務所)が、パイロット市においてPMDH総合的マネジメント枠組みの研修を実践している。
3.パイロット市がPMDH/PDM総合的マネジメント枠組みを実践することを、INIFOM(本庁及び地域事務所)が監理・支援している。
4.INIFOM(本庁及び地域事務所)が、先行パイロット市による他の研修受講済み市に対するPMDH/PDM総合的マネジメント枠組み実践への支援やその他の有効な支援方法など、補完的な協力の仕組みを構築・運用している。
1-1.プロジェクトが、PMDH策定手法をレビューする。
1-2.全国普及に向けた普及版PMDH(PDM)策定手法案を作成する。
1-3.パイロット市との試行活動を通じた普及版PMDH(PDM)策定手法案の最終化をおこなう。
1-4.プロジェクトが、PIAの策定、進捗モニタリングおよび年間報告に関する既存の活動、並びにINIFOMによる支援体制の確認をする。
1-5.PMDH/PDMに連動したPIA策定手法を作成する。
1-6.PMDH/PDMモニタリング手法を作成する。
1-7.研修参加市のPMDH策定結果を踏まえて、必要に応じて手法(1-3)の修正を行う。
1-8.研修参加市によるPMDH/PDMに連動したPIA策定結果(1-5)を踏まえて、必要に応じて手法の修正を行う。
1-9.研修参加市によるPMDH/PDMモニタリング結果(1-6)を踏まえて、必要に応じて手法の修正を行う。
1-10.PMDH/PDM評価および次期計画へのフィードバック手法の作成を行う。
1-11.研修参加市によるPMDH/PDM評価および次期計画へのフィードバック実施結果を踏まえて、必要に応じて手法(1-10)の修正をする。
1-12.PMDH/PDM策定、PMDH/PDMと連動したPIA策定、モニタリング・評価の実施状況をINIFOMが把握し、取りまとめを行う方法を明確化するための助言をプロジェクトが行う。
1-13.以上の結果をまとめて、PMDH/PDM総合的マネジメント枠組みのガイド(案)を作成する。
2-1.プロジェクトが、既存のPMDH策定方法について研修カリキュラム・教材をレビューする。
2-2.普及版PDM策定手法案の研修プログラム・教材の作成と修正をする。
2-3.プロジェクトが、INIFOM(本庁・地域事務所)職員に対する普及版PDM策定手法のTOT研修を行う。
2-4.普及版PDM策定手法の全国研修を行う。
2-5.PMDH/PDMに連動したPIA策定手法の研修プログラム・教材(一般・TOT)の作成と並びに必要に応じた修正を行う。
2-6.プロジェクトが、INIFOM(本庁・地域事務所)職員に対するPMDH/PDMに連動したPIA策定手法のTOT研修を実施する。
2-7.INIFOM(本庁・地域事務所)職員が、PMDH/PDMに連動したPIA策定手法及び結果報告方法についての全国研修を行う。
2-8.PMDH/PDMモニタリング手法の研修プログラム・教材(一般・TOT)を作成する。
2-9.プロジェクトが、INIFOM(本庁・地域事務所)職員に対するPMDH/PDMモニタリング手法のTOT研修を行う。
2-10.INIFOM(本庁・地域事務所)職員が、PMDH/PDMモニタリング手法の全国研修を行う。
2-11.PMDH/PDM評価および次期計画へのフィードバック手法の研修プログラム・教材(一般・TOT)を作成する。
2-12.INIFOM(本庁・地域事務所)職員に対するPMDH/PDM評価および次期計画へのフィードバック手法のTOT研修を行う。
2-13.INIFOM(本庁・地域事務所)職員が、次期計画策定が必要な市に対するPMDH/PDM評価および次期計画へのフィードバック手法の研修を行う。
3-1.プロジェクトが、研修参加市におけるPMDH/PDM策定プロセスのモニタリングを行う。
3-2.プロジェクトが、研修参加市に対するINIFOMのF/U、並びに活動進捗状況のINIFOM中央への報告体制のモニタリングを行う。
3-3.プロジェクトが、研修参加市によるPMDH/PDMに連動したPIA策定プロセスのモニタリングをする。
3-4.プロジェクトが、研修参加市に対するPIA策定に関するINIFOMのF/U、並びに活動進捗状況のINIFOM中央への報告体制のモニタリングを行う。
3-5.プロジェクトが、研修参加市によるPMDH/PDMモニタリングプロセスのモニタリングを行う。
3-6.プロジェクトが、研修参加市に対するPMDH/PDMモニタリングに関するINIFOMのF/U、並びに活動進捗状況のINIFOM中央への報告体制のモニタリングを行う。
3-7.プロジェクトが、研修参加市によるPMDH/PDM評価および次期計画へのフィードバックプロセスのモニタリングを行う。
3-8.プロジェクトが、研修参加市に対するPMDH/PDM評価と次期計画へのフィードバックについて、INIFOMのF/U、並びに活動進捗状況のINIFOM中央への報告体制のモニタリングを行う。
3-9.INIFOM地域事務所所員によるフォローアップ活動をプロジェクトが、巡回指導する。
3-10.INIFOM本庁が市へのフォローアップ方法についてINIFOM地域事務所職員間で経験共有する機会を設け、実施できるようにプロジェクトが助言、指導する。
4-1.INIFOM本庁はPMDH/PDM総合的マネジメント枠組みを実践している市の中から良い事例の市を選び、その実践方法を他の市と共有する場を提供する。
4-2.INIFOM本庁は、先行パイロット市による他の市へのPMDH/PDM総合的マネジメント枠組み実践への支援など、市同士の補完的な協力方法をうまく進めている地域事務所の経験を他の地域事務所と共有するようINIFOM地域事務所を指導・調整する。
4-3.INIFOM本庁が、先行パイロット市による他の市へのPMDH/PDM総合的マネジメント枠組み実践への支援など、市同士の補完的な協力方法を文書化し、1-13で作成するPMDH/PDM総合的マネジメント枠組みに関するガイド(案)にまとめる。
4-4.INIFOM(本庁・地域事務所)による市同士のPMDH/PDM総合的マネジメント枠組みの実践に向けた補完的な協力をうまく推進できるようプロジェクトが巡回指導する。
4-5.INIFOM(本庁・地域事務所)がパイロット市の協力を得てPMDH/PDM総合的マネジメント枠組みを全国展開するための普及計画を作成している。
・専門家派遣
・研修員受け入れ:本邦研修(地方自治体開発計画策定)
・機材供与:プロジェクト車両、PCなど
・在外事業強化:ローカルコンサタント、ワークショップ開催など
・カウンターパートの配置
・案件実施のための施設、現地事業費(プロジェクト・チーム執務室、通信費など)