プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ペルーアマゾンにおける気候変動緩和のための森林湿地生態系の自然資源管理能力強化プロジェクト
(英)Project for strengthening of natural resource management of forest and wetland ecosystems for contributing to climate change mitigation in Peruvian Amazon

対象国名

ペルー

署名日(実施合意)

2022年1月26日

協力期間

2022年7月21日から2027年7月20日(5年間)

相手国機関名

(和)農村開発灌漑省森林野生動物庁、環境省
(英)Ministerio de Desarrollo Agraio y Riego:MIDAGRI-Servicio Nacional Forestal y de Fauna Silvestre:SERFOR/Ministerio del Ambiente:MINAM

背景

ペルー共和国(以下、ペルー)は、国土面積の約60%が森林に覆われており、世界最大の熱帯林であるアマゾンに属する東部の熱帯林地域(セルバ)を代表に、世界第9位の森林面積を有する。国際連合食糧農業機関(FAO)の統計によると、違法伐採や入植者による農地転換などにより、年間約171.9千ヘクタール/年(2010~2020年)のペースで森林が減少、土地利用・土地利用変化及び林業(Land use, land-use change, and forestry:LULUCF)セクターは、ペルーの主要温室効果ガス排出源となっており、全体の45%~50%を占めている。このような状況下、持続的森林管理の強化が気候変動対策上の重要課題となっている。また、アマゾン川流域に広がる湿地は、生物多様性保全に重要な役割を果たし、地下部には世界第3位の面積を誇る泥炭地が存在するとされている。植物遺骸により形成された泥炭地は、地球上の僅か3%の面積に過ぎないが、地球上の森林が貯蔵する地上バイオマス炭素貯蔵量の2倍近くの炭素を固定していると推計されており、これらの保全も重要課題となっている。これら課題に対応するため、ペルー政府環境省(Ministerio del Ambiente:MINAM)は、「森林と気候変動の国家戦略(Estragia Nacional sobre Bosques y Cambio Climatico:ENBCC)」を策定し、持続的森林管理や森林生態系のレジリエンス強化を掲げ、同様に、農村開発灌漑省(Ministerio de Desarrollo Agraio y Riego:MIDAGRI)は、「国家森林野生生物計画(Plan Nacional Forestal y de Fauna Silvestre:PLNFFS)」において、森林や野生生物に関する資源の活用と保全を確保し、生産性と競争力を高める戦略的行動指針を定めた。これら戦略や指針に基づく行動の効果・効率的実施には、生態・社会学的データに基づいた森林の分類(マッピング)や土地利用計画(ゾーニング)の策定、そして、これらを踏まえた現場での自然資源管理の実行が急務となっている。これに対し、JICAとMINAM、MIDAGRI森林野生動物庁(Servicio Nacional Forestal y de Fauna Silvestre:SERFOR)は、2016年から2021年まで「森林保全及びREDD+メカニズム能力強化プロジェクト」を実施し、1)浸水林や乾燥林マッピング技術や2)森林モニタリングシステムの開発、3)州やコミュニティの違法森林伐採取り締まり体制の強化などを支援した。本プロジェクトは、これら成果も踏まえ、ペルーアマゾンの森林と湿地生態系の自然資源管理能力の強化、ひいては気候変動緩和策の強化を目的に、1)湿地マッピング技術の強化、2)ユーザー視点を重視した森林モニタリングシステムの強化、3)州やコミュニティの自然資源管理能力の強化を行うものである。

目標

上位目標

ペルーアマゾンの森林と湿地生態系の自然資源管理を通じて、LULUCF(土地利用・土地利用変化及び林業)セクターにおける気候変動緩和策が強化される。

プロジェクト目標

ペルーアマゾンの森林と湿地生態系に関する自然資源管理能力が強化される。

成果

1.ペルーアマゾンの自然資源管理に資する基本データの収集のため、湿地マッピング技術能力が強化される。
2.モニタリングと監視を容易にするため、森林モニタリングシステムが強化される。
3.自然資源管理に関わる州、地方関係者の能力が強化される。

活動

成果1のための活動

1-1.自然資源管理に資するペルーアマゾンの湿地マッピングをレビューし、必要なマップを提案する。
1-2.湿地マッピングの特定の項目における方法論を評価し改善する。
1-3.土壌サンプルの収集を含む現地検証調査を実施する。
1-4.湿地マッピングのための統合された方法論を開発する。
1-5.州政府向けにマッピング方法論のマニュアルとビデオ教材を作成する。
1-6.成果1に関連する活動結果を国内外の関係者に共有する。

成果2のための活動

2-1.国家森林野生生物情報システムの森林モニタリングシステムの現状と課題を分析し、州政府の利用を視野に入れながら改善点を検討する。
2-2.容易かつ正確な森林減少モニタリングが行え、違法性を判断できるように森林影響衛星モニタリングサブモジュールと森林ゾーニングサブモジュールを強化する。
2-3.森林火災に関連する森林影響衛星モニタリングサブモジュールを改善する。
2-4.成果1のデータに基づいた湿地モニタリングシステムを開発する。
2-5.違法伐採等の人間による違法な活動を分析するために必要な全情報を統合したデータベースを強化する。
2-6.活動2-1に基づきSINIFFSの他のコンポーネントを改善する。
2-7.成果2に関連する活動結果を国内外の関係者に共有する。

成果3のための活動

3-1.成果2のモニタリングシステムの利用のための州政府の能力強化を実施する。
3-2.地域コミュニティが持続的に森林資源を利用するための活動に関するニーズ調査を実施する。
3-3.地域コミュニティが違法行為を認識できるための意識向上コンテンツを作成する。
3-4.地域コミュニティによる森林・湿地資源の持続可能な利用に資する活動を行う。

投入

日本側投入

1.専門家派遣
2.本邦研修
3.機材供与

相手国側投入

1.カウンターパートの配置
2.専門家のオフィススペース、既存施設機材及び保管場所
3.供与機材の維持管理費