(1)当該国における保健セクターの開発実績(現状)と課題
狂犬病はイヌなどの感染哺乳動物からの咬傷曝露により感染し、発症すれば重篤な神経症状を伴い、ほぼ100%死亡するウイルス性人獣共通感染症である。発症後の治療法は未だ確立されておらず、感染動物のコントロールと咬傷曝露を受けた人への発症予防策を徹底する必要がある。狂犬病はWHOにより顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases:NTDs)のひとつとして分類されており、主に、僻地での脆弱な貧困層に影響を与える感染症である。
フィリピンでは年間200人~300人の狂犬病による死亡例が保健省により報告さ…