2022年5月26日
スリランカ国都市開発計画能力強化プロジェクトは、その名の通り、スリランカの各都市の都市計画マスタープランや建築規制を定める開発計画(Development Plan)の策定能力を中心として、スリランカ政府の都市計画に関わる能力強化を目指すプロジェクトです。
スリランカの都市計画の策定や、その運用は、都市開発庁(Urban Development Authority。通称UDA)が担います。260以上の都市のDevelopment Planを策定すべきところ、現在策定済みの都市は34のみとなっています。今後の都市の成長や適切な管理を行うため、Development Planをすべての都市で策定することが急務となっています。
このプロジェクトでは、ICT技術等を用いた先進的な都市計画技術の導入を図ることで、高品質な都市計画を効率的に策定し、適切に運用することを目指すという、非常に有意義でありながらも、チャレンジングなプロジェクトとなっています。
UDAの内部には、都市研究センター(Urban Research Centre。通称URC)が設立され、このURCが中心となって都市計画にかかる技術をUDA内部に展開していくことを目指します。このため、URCへの先端技術の習得のための研修を行い、その後、URCがUDAの職員に対してこれを広めるプロセスを取ることで、持続的にUDAの都市計画技術の向上を図ります。同時に、形式的にしか行われていない合意形成、および、都市計画にかかるデータ共有機能の改善にも取り組みます。
2022年3月14日、第1回の合同調整委員会が開催され、プロジェクトの目的や進め方についての合意を得るとともに、UDAからの高い期待が示されました。これをもって、「スリランカ国都市開発計画能力強化プロジェクト」は正式にスタートを切る事となりました。
その後、UDAは、各部署の若手プランナーを中心に、URCのメンバーを正式に決定。3月24日には最初のURCメンバーとのキックオフの会議を開催し、各メンバーから都市計画に関わる様々な技術の向上に関し、多様なコメントが寄せられました。また、プロジェクトの愛称を、都市が適切な計画とともにより魅力的になり、かつ、能力を向上させるという意味を込めて、「CITY-UP」とする事としました。
今後は、具体的にこれまでのUDAによる計画策定やその運用についてレビューを行い、強化すべき技術分野を特定し、それに対応したICT等の先端技術を学ぶ研修のプログラムを組み立てていくこととなります。CITY-UPの愛称が意図する通りに、UDAおよびJICAがともに協力し、URCが中心となって、持続的に都市計画にかかる能力の更なる強化が図れるような体制が構築されることを目指します。
第1回合同調整委員会の様子
コロンボ都心部の風景。市民の憩いの場ともなっているベイラ湖周辺には高層ビルの建設も進んでおり、適切な土地利用計画が求められる。
コロンボ郊外の風景。緑豊かな都市環境の維持も都市計画のテーマとなる。
初回URCメンバー会議。URCのTeam LeaderとなったLalith Wijayarathne氏が議長となり、URCの役割、本プロジェクトの目的や進め方を確認した。