2022年9月2日
3月の正式スタート以降、日本とスリランカでオンラインにて進めてきた本プロジェクトですが、7月には2回目の現地調査が実施されました。日本でも報道されていたためご存じの方も多いと思いますが、7月現在スリランカでは大都市コロンボを中心に政府に対する大規模な抗議行動が発生しており、大勢のデモ隊が大統領府などを占拠するといった不安定な情勢の中での現地調査となりました。
混乱の影響は市民生活にも及んでおり、ガソリンなど燃料の国内在庫が払底する中、わずかな供給を求めた人々はガソリンスタンドに押し寄せ、自動車やトゥクトゥクがスタンド周辺の道路に長蛇の列をなしています。本プロジェクトのカウンターパートである都市開発庁(Urban Development Authority, 通称UDA)の職員もガソリン不足のため毎日は登庁できず、能力強化の中心となるUDAの内部組織、都市調査センター(Urban Research Centre, 通称URC)のメンバーとの会議や調査等は限られた時間の中で行われました。
そうした状況下ではありましたが、庁舎の中にURCのオフィスが綺麗に整備され、着々とプロジェクトは進んでいます。URCの設立を祝ってUDA長官へのお披露目会も開催され、約30名のURCメンバーとともに改めて目標達成に向けて士気を高めました。
今回の渡航ではこれまでの調査を踏まえた上で、都市計画策定におけるUDAが抱える課題やニーズのアセスメントを行いました。UDA職員の都市計画にかかる能力や、計画に必要なデータの保有状況/利用環境など、直接職員に話を聞きながら確認していきます。また、URCの能力強化を目的とした内部研修プログラムの策定に向けてURCが求めるニーズを把握し、本プロジェクトを通して提供できるプログラムの協議を進めました。今後はオンラインを基本に協議を続け、研修プログラムの全体像を確定していきます。
とりわけ都市計画策定において重要である土地利用に関しては、ワークショップの開催を通じて集中的な議論を行う予定とし、計画策定時の合意形成や住民参加に関わる課題の把握等を行っています。7月末には、スリランカと日本をオンラインで繋ぎ、URC職員を対象とした第1回土地利用ワークショップを開催しました。URCの皆さんが現在土地利用計画において感じている課題や、実際に直面した問題を、オンライン・ホワイトボードを活用しながらブレインストーミングのように出し合いました。参加者の抱く問題意識も強く、活発にアイディアが共有され、8月に予定されている第2回ワークショップに向けて大きな成果が得られました。現地での活動は限られますが、オンラインツールを最大限に活用して、URCとともに調査を進めています!
コロンボ市内で見られたデモに向かう人々の様子
片側二車線の道路の二車線分を占拠し数日間並んでいるガソリン待ちの車列
デスク等が整備され日常の議論でも活用されているURCオフィス
UDA長官を交えたURCオフィスお披露目会の記念撮影
研修策定に向けたURCメンバーとの協議の様子
オンラインホワイトボード「miro」を活用したワークショップ