CITY-UP!能力向上研修がさらに進んでいます!

2023年8月31日

スリランカ国都市開発計画能力強化プロジェクト(以下、本プロジェクト)では2022年10月からカウンターパートであるスリランカ都市開発庁(Urban Development Authority, 以下UDA)の内部組織である都市調査センター(Urban Research Centre, 以下URC)のメンバーを対象に能力向上研修を開始し、2023年7月までに40回以上の研修が実施されています。今回は、6月から7月にかけて計6名の専門家がスリランカに渡航した際に現地で研修を実施した様子をご報告します。研修開始から前半までの様子は、2023年3月16日、2023年7月5日のプロジェクトニュースをご覧ください!

6月と7月は、下図に示す研修の枠組みの中で、都市計画全体(Overall Theme:OA)、環境(Environment:EV)、都市デザイン(Urban Design:UD)、社会経済分析(Socio-Economic:SE)に関するセッションを実施しました。本記事では、環境と都市デザインについて紹介します。

環境の研修では、地球観測データ、機械学習技術、GIS分析を用いた環境分析を実施する知識とスキルを提供することを目的としています。受講者はオープンソースGIS(地理情報システム)ソフトウェアであるQGISと、膨大な衛星データが蓄積されているGoogle Earth Engineの解析プラットフォームを利用し、スリランカの特定の地域における土地被覆の抽出やグリーンインフラストラクチャーの評価、環境品質指数マップの作成といった環境分析を行いました。受講者の多くが、研修内容が期待通りもしくは期待以上であったと評価しており、URCのメンバーにとってとても有意義な研修となりました。

都市デザインの研修は、都市の特定の地区を対象に詳細の計画を定めることができる「ガイドプラン」の策定において重要な「都市デザイン」を扱うセッションと、計画をイメージとして表現するための「3Dモデリング技術」を扱うセッションに分かれています。

「都市デザイン」の研修では、コロンボのBambalapitiya地区を対象に、受講者は実際に対象地域での実地調査を行い、地域の課題や開発ガイドプランのコンセプト、必要な開発やデザイン、規制などを議論しました。これは、ガイドプラン策定を見据えた演習形式で実施しました。本プロジェクトはICT技術等を用いた先進的な都市計画技術の導入を目指していますが、計画策定には実地調査や議論など従来からの手法を避けては通れません。今後は、演習で策定した開発コンセプトを実現するための規制やインセンティブを都市デザインの観点から議論していきます。

3Dモデリング技術の研修では、AutoCAD、3ds Max、Blenderという3種類のソフトウェアを使用して3Dモデリングやレンダリングの演習を行いました。UDAは3Dモデリングのテーマに強い関心を持っており、URCメンバーのみならず多くのUDA職員が受講しました。今後は、都市開発シミュレーションや、メタバースやデジタルツイン等の最新の技術にふれつつ、3D都市モデルをどのように都市計画策定に適用することができるか検討していきます。

このように、能力向上研修は単なる座学だけではなく、演習、ワークショップ、グループディスカッションとプレゼンテーション等、様々な形態で参加者の主体的な参加を促しながら実施しています。能力向上研修の後は、URCメンバーがUDAの内部研修を実施する主体となっていくためのサポートを行っていきます。

環境分析の研修の様子

環境分析の研修の様子

都市デザイン研修における実地調査の様子(Bambalapitiya)

都市デザイン研修における実地調査の様子(Bambalapitiya)

都市デザイン研修における開発コンセプト策定の様子

都市デザイン研修における開発コンセプト策定の様子

都市デザイン研修における3Dモデリング演習の様子

都市デザイン研修における3Dモデリング演習の様子