2022年7月9日
2022年7月3日~7月9日
2022年7月、プロジェクトは診療報酬の請求審査及び監査に係る本邦研修を実施しました。タイの人口の約7割をカバーする公的健康保険Universal Coverage Schemeを運用する国民医療保障機構(NHSO)から9名、ほか2つの公的健康保険の所管官庁および予算局から3名、計12名が参加しました。
特に近年、NHSOは画一の診療報酬による出来高払いを適用する項目を拡大しており、効果的な支払いメカニズムを確保および維持するために、請求審査および監査がより重要な役割を果たす必要があります。しかし、2020年には、民間の医療施設による多くの不正または疑わしい請求が明らかになりました。これに対応するため、NHSOは請求審査および監査制度の強化という緊急の課題に取り組んでいます。
一方、当プロジェクトは近隣諸国等のUHC推進に協力しており、いくつかの対象国は請求審査と監査に関する技術協力をタイに求めています。
タイ全国の請求審査・監査制度をさらに向上させ、また、第三国との協働を推進するため、本研修は、日本が請求審査および監査システムをどのように強化してきたかを学ぶことを目的としました。
監督機関、請求審査機関、保険者、医療機関といった日本の健康保険制度にかかわる様々な関係者による包括的な講義、活発な質疑に対する丁寧な応答、さらに、実際の請求事務や、医療機関に対する指導・監査のデモンストレーションを通じて、タイの参加者は医療費の請求事務、請求審査、指導・監査や、医療費の適正化について多くの実践的な学びを得ました。
タイの参加者は、日本の制度やその歴史を、これからのタイの制度の改善にどう活かすか、両者の違いを踏まえて、毎晩熱く議論を行い、最終日にその発表を行いました。NHSOと各機関は、報告に基づいて制度の改善を検討していきます。GLO + UHCプロジェクトは、引き続き彼らの取り組みを支援してまいります。
最後に、コロナ禍にもかかわらずご協力を頂きました、社会保険診療報酬支払基金、関東信越厚生局医療課、新宿区 健康部 医療保険年金課、国立国際医療研究センター病院、医療法人社団DEN みいクリニック代々木、ホッペ薬局代々木店の皆様方に心より感謝申し上げます。
活発な質疑応答の一例
社会保険診療報酬支払基金の講師のお二方と
タイ人参加者による毎日の振り返りとディスカッション
新宿区医療保険年金課によるご講義
関東信越厚生局による医療機関の指導・監査のデモンストレーション@国立国際医療研究センター病院
調剤薬局訪問
診療報酬明細書(レセプト)作成のデモンストレーション@みいクリニック
タイ人参加者による研修成果報告会