2022年4月13日
「パリ協定に基づく「国が決定する貢献」実施支援プロジェクト(以下SPI-NDC)」は2022年4月13日にハノイで2021年の活動報告並びに2022年の活動計画に関するステークホルダー会合を開催しました。
プロジェクト初年度にあたる2021年度はパンデミックの影響により、オンラインでのコミュニケーションに限定されましたが、今回は初めての対面を取り入れたハイブリッド型会合となり、ベトナム国天然資源環境省(MONRE)の気候変動対策局(DCC)をはじめ、関係省庁やベトナム商工会議所(VCCI)、民間企業関係者など約80名が対面もしくはオンラインでも参加しました。
冒頭に、プロジェクトディレクターであるNguyen Tuan Quang DCC局次長から「COP26を通じて、国際社会は緩和野心を引き上げており、ベトナムは2050年炭素中立を宣言する結果となったことが強調されました。またMONREはSPI-NDCを通じて、より一層の取組を推進し、特に、民間セクターの効果的なエンゲージメントを推進することを目指している旨の発言がなされ、21年度の活動成果に対する関係者からの評価と、今年度の活動計画へのインプットへの期待が述べられました。
オープニングリマークスを述べるDCCのQuang局次長
続いて、JICA側プロジェクト総括からは改正環境保護法や政令6号の公布により、法令基盤は整いつつある状況において、今後はそれを実施するフェーズに移る中で、SPI-NDCの取組は、能力強化を通じてベトナムの国自体の強化に貢献するべく設計されていることが述べられました。また、その具体としてMONREを中心としたベトナム政府の能力強化に資する活動と、VCCIを中心とした民間企業による気候変動施策への促進を橋渡しする活動が紹介されました。
続いてDCC緩和課長からは改正環境法における温室効果ガス(GHG)排出抑制に関する新たな規制・取組が紹介されました。2020年に改正された環境保護法は、ベトナムによる温室効果ガス(GHG)削減への取組みの大きなターニングポイントであり、その中で具体化された項目の一つが事業所レベルでのGHG算定報告制度であることが述べられました。特に2026年以降、規制緩和にかかる政策措置が強化実施される中、対象となる大規模GHG排出事業所は23年3月末までに関連するデータを提出し、24年以降は2年毎に算定報告する義務が生じます。これは民間企業にとって負担ともみえる一方、国際的な炭素市場への参加の機会や新たな脱炭素技術の導入・企業努力を喚起するなど、ビジネスにとっても新しい時代にあって競争力を強化する機会でもある点が強調されました。
改正環境保護法のポイントと、事業所GHG算定報告の説明をするHuy課長
DCC発表に続き、21年度の活動成果について8名のベトナム人専門家が発表しました。2021年度はPDMに則った活動項目が実施展開されました。結果概要は以下の通りです。
(注1)Vietnam, Energy, Environment and Climate Change Joint Stock Company(コンサルティング会社)
(注2)Industrial Process and Product Use(工業プロセス及び製品の使用)
(注3)Transport and Development Strategy Institute(交通に関する研究機関)
(注4)VETS Energy(コンサルティング会社)
これら調査結果発表後、DCCだけではなく、ベトナム商工会議所(VCCI)や関係省庁、また積極的な気候配慮行動に取り組む民間企業参加者も交えて、活発意見交換がなされました。
VCCIからは、CSI自体は非財務的措置だが、それをもって企業の財務プロファイルの向上に繋がることもある点が共有されました。またCSI指標は毎年更新されていくため、更なる気候変動関連の指標の強化の可能性も示されました。また、民間企業向けの研修も実施しながら、民間企業からのGHG削減を促していく必要性が強調されました。
最後に22年度の活動計画についても発表がなされ、Quang局次長、JICA本部からのクロージングリマークを以って約4時間にわたるワークショップが終了しました。2年目を迎える本プロジェクトは、21年度の活動成果をもとに、今年度はさらに活動を拡大していきます。プロジェクトホームページでも、今後積極的に活動情報を発信していく予定です。
ワークショップの記念撮影