第24報:世界との繋がり(キルギス)

当別町立とうべつ学園 伊藤 麻美先生

私は、子どもの頃に起こったアメリカ同時多発テロに衝撃を受け、宗教や文化の違いを理解すること、理解しようとする気持ちが大切だと思うようになり、中学校の社会科教員になりました。社会科の授業を通じて、さまざまな考え方や文化、宗教の違い、世界共通のものがあることなどを理解させ、受容できる生徒を育てたいと思う反面、自身の海外渡航の経験を授業にうまく活かせていないことに悩んでいました。そんなときに目に留まったのがJICAの教師海外研修のポスターでした。

JICAの教師海外研修は海外での研修だけではなく、授業実践に向けた準備や模擬授業も含まれていて、うまく授業ができていないことに悩む私にとって楽しい研修でした。楽しい一方で、他の参加者が授業の構想を膨らませている中、なかなか授業が固まらず、生みの苦しみが続きました。

暖かい国キルギス

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私たちと顔つきの似たキルギス人との出会いは飛行機の中から始まりました。キルギス行きの飛行機で隣に座った人たちからキルギス人だと思われ、話しかけられました。言葉がわからず困惑しましたが、周囲の人たちも巻き込んで、コミュニケーションを図ろうとしてくれました。

キルギス滞在中も言葉の壁に悩みましたが、それ以上に何かを伝えようとしてくれるキルギスの人たちとたくさん出会いました。

言葉の壁を越える楽器

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言葉だけではうまくコミュニケーションをとれずにいましたが、持参していたアイヌの楽器「ムックリ」がお互いの楽器についての『話題』になりました。言葉でのコミュニケーションではうまく通じませんでしたが、楽器を通じて伝わったものがあったような気がしています。

現地でコムズという楽器と出会い魅了され、自分でコムズを購入しました。もうすでにコムズを持っていたにもかかわらず、現地で出会った人からコムズをいただきました。楽器で通じ合ったことが、コムズをいただくという経験につながったのだと思います。

新たな出会い

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JICAのポスターを見なければ、出会うことのなかったキルギスという国。教師海外研修で出会ってから、日本でもキルギスと出会うことが増えました。北海道にいるキルギスの人たちとつながり、遠く離れたキルギスと似ている日本文化にたくさん気づかされています。渡航前から渡航後の研修も含めて、得られたたくさんの気づきを子どもたちの教育に還元していきたいと考えています。