国際理解教育/開発教育教員セミナー -授業に役立つ参加型学習の手法を学ぼう!-

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JICA横浜では、開発教育・国際理解教育に関心のある神奈川県・山梨県内の教員や教育関係者の方々などを対象に、毎年基礎編2回と応用編1回、国際理解教育/開発教育教員セミナーを実施しています。

【実施報告】国際理解教育/開発教育 教員セミナー(基礎編)

【基礎編】7月16日(土曜日)

2022年7月16日、JICA横浜にて「国際理解教育/開発教育 教員セミナー(基礎編)」を開催し、神奈川・山梨県内の小中高等学校の先生など、27名にご参加いただきました。本セミナーは、国際理解教育/開発教育の指導者としての技術・能力の向上を図ることや参加者同士のネットワークの構築をねらいとして、毎年開催しています。

今回は、「平和と対立を考える」をテーマとして、国際理解教育/開発教育の基礎概念を学ぶ講演、ルワンダ大虐殺を経験されたトワリ・マリールイーズ氏を招いたゲストトーク、開発教育の基本手法を学ぶワークショップの体験という3部仕立てで開催しました。

国際理解教育/開発教育の基本を学ぶ

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山西優二氏の講演の様子

午前中の前半はかながわ開発教育センター(K-DEC)代表の山西優二氏(早稲田大学教授)より、国際理解教育/開発教育の基礎概念について、これまで開発教育の概念が辿ってきた歴史を振り返りながらお話しいただきました。講義内では「平和に対するキーワードは?」という問いや、「400年後、どんな学校になっていたら面白い?」などの問いに対して、活発に意見が共有されました。
参加者からは「現状に流されながら、現場の課題をこなしてきました。今回、改めて基礎から学ぶことによって、バラバラであった事項や問題・課題がすっきりとまとまりました。」などの声が寄せられ、現場で実践を積まれている先生方だからこそ持っている視点で学ばれた様子でした。

「ルワンダ虐殺」経験者、マリールイーズさんとの語らい

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ルイーズ氏の講演の様子

午前中の後半は、トワリ・マリールイーズ氏(NPO法人ルワンダの教育を考える会 理事長)をお招きして「いまだからこそ社会、先生、子どもたちに伝えたいこと」をテーマにお話し頂きました。ルイーズ氏は冒頭で「一人でも多くの人があの悲劇を繰り返さない為に今日ここにいます。」と力強く話され、会が始まりました。ルイーズ氏の立場だからこそお話できる内容に参加者からは「ルイーズさんのお話を伺うと、知らぬうちに先入観があった自分に気づかされました。」などの感想が寄せられました。
午後には、講演内容をふまえて、ルイーズ氏へ本事業運営事務局・メディア総合研究所 福田訓久によるインタビューと参加者との質疑応答が開催されました。「意見が対立した際、暴力に頼らずに解決する方法は?」との問いには、ルワンダで昔から行われている長老が仲裁に入り和解に導いていくエピソードを紹介して下さり「心を開いて対話すること」の大切さをお話ししてくれました。

授業でも実践可能な「参加型学習」ワークショップを体験

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参加者同士、話し合う様子

午後の後半は、K-DECの小野行雄氏より、開発教育の手法を体験するワークショップを実施いただきました。小野氏より与えられた課題をどのようにクリアしていくか?という過程を経て参加者同士の関係性がさらに深まる時間となりました。
参加者からは「ルイーズさんの言っていたコミュニケーションの大切さをワークショップで実感できました。」などの感想が寄せられ、講義やゲストトークの内容との繋がりも感じて頂ける時間となりました。

今日の学びを実践へ

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振り返りを行う参加者の様子

最後に、1日の研修を振り返るワークを行いました。各グループで振り返りを共有した後には、2人1組になり1分という設定時間の中で各々の気づきを共有しました。「今後やってみようと思ったこと」を言葉にして目の前の人に伝えることで、研修後、実際に行動を起こす一歩を踏み出すきっかけの場となったことを願っています。
1日のセミナーを終えて参加者からは「今まで国際教育というものを難しく考えていたが、実は自分と世界はつながっており、身近なものから考えていくことが大切だということが分かった。」「自分が学級経営していく中で話し合いやアクティビティを通して、平和の文化の醸成をしていきたいと思います。」など明日からの実践に活かそうとする感想が多く寄せられました。

ご参加された皆さんが、本研修での学びや気づきを自分の知識とし、今後の授業等で実践されることを期待しています。