【実施報告】SDGs連続セミナー 第1回「少女売買-インドに売られた少女たち-」

2019年10月9日

【画像】日時:2019年9月14日(土)13:30~15:30
会場:エソール広島 会議室(広島市中区大手町一丁目2-1おりづるタワー10F)
参加者:46名
講師:長谷川まり子氏(認定NPO法人ラリグラスジャパン代表)
共催:公益財団法人広島県男女共同参画財団 エソール広島

報道されない南アジアの人身売買

講師の長谷川まり子さん

 2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。「誰ひとり取り残さない」を合言葉に、世界が取り組む2030年までの目標です。本セミナーは、様々な分野で活躍する専門家から世界各地で起こっている課題を聞くことでSDGsの背景を知り、「持続可能な社会」とはどんなものなのかを考えるきっかけとなるよう企画されました。第1回は3連休の初日でしたが、中学生からシニア層まで、46名の幅広い世代の方々がご参加くださいました。
 講師の長谷川まり子さんはジャーナリストとしての取材中に人身売買の被害にあったネパールの少女と出会い、現地NGOをサポートする団体としてラリグラスジャパンを立ち上げ、現在もジャーナリストとして活躍する傍ら、無償ボランティアとして人身売買の被害にあった少女への支援活動を展開されています。
 南アジアに位置するネパールは、アジア最貧国のひとつであり、他国へ出稼ぎに行く人が少なくありません。また、教育水準も高いとはいえず、特に地方の女性の識字率は5割を下回っています。そのような背景から、特に抗う術のない少女がターゲットとなる人身売買が慢性化しています。
 長谷川さんはこの問題が複雑である理由として、宗教的価値観や長い国境線を有するネパールにおける出入国管理の難しさ、各国政府間の体制など、その背景を分かりやすく解説して下さいました。その上で、現地NGOが行う少女の救出活動や保護された少女への精神的ケア、就労支援など具体的な支援活動をご紹介下さいました。
 ヒマラヤやカレーなどを通じて日本人にもなじみのあるネパールですが、このような問題が報道されることはほとんどありません。「テーマがあまりに重すぎて、メディアにとっても扱いづらい」と長谷川さんはいいます。しかし、貧困の解決、経済格差の解消、教育を受ける権利の徹底などが目標として定められたSDGsを達成するためには、声を上げられない少女たちを取り残すことはできません。これまで知る機会の少なかった問題に触れた参加者からは「現場で活動しているからこそ分かる話に、かなり衝撃を受けた」「学校で学ぶ機会のない問題を知り、とても勉強になった。中学校などでも講演してほしい」「日本の若い女の子も、この問題に関心をもって、自分になにができるか考えたらいいと思う」といった感想が上がりました。
 本セミナーの第2回は10月19日(土)、日本の難民問題を取り上げます。世界の課題を通して、SDGsと持続可能な社会について、一緒に考えてみませんか?