【広島とアフリカ】廃材使った衣類 評判に

2020年2月19日

【画像】フェアトレード事業「ジャムタン」代表
田賀朋子さん
2019年12月22日(日) 中國新聞SELECT掲載

※中国新聞社の許諾を得ています

新しい製品開発に挑戦するセネガルの人々(12月2日、タンバクンダ州シンチューマレム村)

「平和しかない」。直訳するとそんな意味になる言葉を、セネガルの人たちはあいさつの返事に毎日何十回と口にする。経済的には豊かではないが、お互いを思いやり、助け合い、生活が成り立っている。

青年海外協力隊員として訪れたこの国の農村部。きれい好きな彼らの生活習慣とは裏腹に、大量のごみが散乱していた。回収や処理のシステムに欠け、それを構築する費用も乏しい。空き地などに積もったごみは、病気を媒介もする。

ごみの中でも目についたのは、飲料水用のポリ袋と端切れだった。洋服を仕立屋であつらえるという文化もあり、廃材を活用して衣類や小物を製作・販売する取り組みを始めた。現地で評判となり、作り手の収入が増え、住民のごみ問題への意識も変化した。

援助の在り方について考えさせられた。一時的で一方的な支援では格差を広げる結果になりかねない。現場の声を大切にし、対等な立場で共に頑張る、そんな関係を願うようになった。

セネガルとつながり続けたいという思いもあり、帰国後、活動を共にした仕立屋さんと、アフリカ布を使った雑貨や洋服のフェアトレード事業を始めた。ブランド名は「ジャムタン」。皆が大切にしていた「平和しかない」を意味する。

広島市でのフラワーフェスティバルに出店するなど、日本では中国地方を中心にイベントでの販売や発信にも奮闘。ミシン購入など現地での環境拡充のためのクラウドファンディングを展開し、目標を大幅に超えるご支援をいただいて、11月にも現地入りした。

作り手と使い手、互いの顔が見える楽しく優しいつながりを提案している。色鮮やかな商品と共に、平和で笑顔にあふれたセネガルの魅力を多くの人に伝えたい。


フェアトレード事業「ジャムタン」代表 田賀朋子さん
たが・ともこ
岡山県矢掛町出身。香川大卒。マンチェスター大修士課程修了後、2014年9月から2年間青年海外協力隊員としてセネガルへ。住民の生活改善に取り組む。帰国後の17年にジャムタンを立ち上げ、中国地方でのイベントで布製品を販売するなどしてセネガル農村部の支援に取り組む。