【実施報告】「SDGsってなに?in山口」

2020年2月19日

【画像】実施日:2020年1月18日(土)
会 場:ときわ湖水ホール(山口県宇部市)
参加者:169名(部分参加含む)
主催:JICA中国
共催:山口県宇部市

SDGsを楽しく知って、身近に感じよう

出展ブースの様子

黒ラブ教授によるSDGsクイズ

 最近耳にする「持続可能な社会」や「SDGs」について、楽しみながら知り、地域の問題としてとらえ、自分に何ができるかを考えてみよう、というイベントを、「SDGs未来都市」に認定された山口県宇部市との共催で行いました。
 イベントはブース出展からスタート。山口県内にある23団体が参加されました。宇部市で活動する子ども食堂や県内の食品ロスに取組む団体、事業を展開しながら、得意分野を活かしてSDGs達成にも尽力している企業など、それぞれの団体が特長を生かした活動を来場者に紹介しました。また、開発途上国支援を行う大学生やSDGsをテーマに探究学習を行う高校生からは、手書きポスターでのプレゼンテーションもありました。そして、各ブースには団体の活動に関連するSDGsのゴールのスタンプが置かれ、来場者は各ブースで説明を聞き、17のゴールを集めるスタンプラリーも楽しんでいました。

 久保田后子宇部市長のご挨拶の後、吉本興業に所属するお笑い芸人にして大学の先生でもある黒ラブ教授による、SDGsお笑い講座が開催されました。応用生物学修士で工学学士、東京大学大学院客員研究員という肩書も持つ黒ラブ教授の話に、来場者の笑い声は途切れることなく、最先端科学のエピソードにはしばしば感嘆の声が上がるほど。また、非売品のよしもとオリジナルSDGsグッズがもらえるクイズ大会では、途上国の現状からジェンダーの問題、英国王室とSDGsとの関係など、意外な事実が次々と飛び出し、会場の熱気は増すばかりでした。理系の人も文系の人も、大人も子どもも楽しみながらSDGsを理解できた、あっという間の1時間となりました。

世界の目標、SDGsを自分事にするために

ババ抜きでSDGsを理解

パネルディスカッション

 後半は、Table for Two*活動を展開している 学生サークル「山口県立大学YPU TFT Project」の学生とJICA山口県国際協力推進員が進行役となって「SDGsババ抜き」を行いました。学生から大人まで、幅広い年齢層と多様な専門分野の方が同じグループとなり、SDGsと日常生活が関連付けられたカードを用いてババ抜きをしていきます。ときには身体全体を使ってSDGsの目標を表現するカードもあり、最初は恥ずかしそうだった社会人の方も、SDGsを理解する、という共通の目的を持った来場者同士の和やかな雰囲気の中で、次第に緊張も解け、ジェスチャーも笑顔も大きくなっていきました。参加者からは「少し難しくとらえていたSDGsをババ抜きで楽しく身近に考えることができた」といった声が上がっていました。

 プログラムの最後はパネルディスカッション。「特定非営利活動法人フードバンク山口」の代表を務める今村主税さんは、ご自身の専門である環境分野の視点から、食品ロスの問題と県内の生活困窮世帯への食料支援について教えて下さいました。
 宇部市を中心に幅広く多様な活動を展開している「みんにゃ食堂」を設立・運営されている金子淳子さんは、子どもの貧困や地域における多世代交流の重要性について、小児科医の立場からの意見もまじえてお話し下さいました。年齢関係なく、地域で孤立する人をなくすための集いの場は、まさにSDGsの理念である「誰ひとり取り残さない」を体現しているものでした。
 宇部工業高等専門学校で海外展開事業コーディネーターを務める柿沼瑞穂さんは、青年海外協力隊員として、アフリカのザンビアで村落開発の活動に携わった経験があります。開発途上国での経験も活かしながら、宇部高専が中心となり進めている、ベトナムへの高専の仕組みや技術を伝える事業について、ご紹介下さいました。
 パネリストの活動は、SDGsが定められる前から行われている取組みですが、地域を良くする活動がSDGsのゴールとつながっていると理解でき、私たちも地域から世界共通の目標達成に貢献できる、と実感できた時間でした。  
 来場者からは「出展団体をすべて回り、いろいろな取組みを知ることで理解が深まった」「楽しんでSDGsを理解できた。一人でも多くの人に参加してほしいイベントだった」「参加者の熱意が素晴らしかった。いろいろな人とつながり、SDGsを進めていきたい」といったコメントや「資料提供やアンケートをウェブ上で行うなど、イベント全体でペーパーレスを心がける必要もあるのでは」というご提案もありました。
 本イベントは宇部市との共催だからこそできた企画でした。改めて、SDGsのゴール17でも掲げられている協同、パートナーシップの重要性を再認識することができました。そして、多くの方から寄せられたご意見、感想、そして熱のこもった貴重なご助言を胸に、JICA中国はこれからも、海外での長い経験を活かしながら、地域の皆さんとともにSDGs達成に向けて頑張っていきます。

*TABLE FOR TWO(TFT):現在の世界は、深刻な栄養失調に苦しむ人々がいる一方、肥満や生活習慣病を抱える人の数も増加しており、食の不均衡という大きな問題を抱えています。TFTは、健康と健康の交換、を目指し、先進国の参加者にヘルシーなメニューを提供し、一食に付きアフリカの子どもたちの給食一食分である20円分を寄付する活動で、特定非営利活動法人TABLE FOR TWO Internationalが展開しています。