【実施報告】島根県立宍道高校「多文化共生を考える日」に参加しました

2022年10月17日

日時:2022年9月28日(水) 9時10分~16時35分
場所:島根県立宍道高等学校体育館・教室(島根県松江市宍道町宍道1586)
主催:島根県立宍道高等学校
共催:JICA中国

宍道湖が一望できる高台に立つ島根県立宍道高等学校。定時制と通信制から成り、制服がなく、チャイムが鳴らない環境の中で自身のペースで学ぶことのできる高校です。2021年度から島根県内の高校として初の外国につながる生徒の重点受入校となりました。ここで多文化共生リーダーとして外国につながる生徒のクラスの担任と日本語指導を担当している高橋良子先生は、青年海外協力隊経験者。これまでも学校全体で多文化・多様性を楽しむ雰囲気を作りたい、と様々な取り組みにチャレンジしてきました。そして今年度、初めての試みとしてJICA中国と連携した「多文化共生を考える日」を実施しました。

「ちがい」を楽しもう

JICA日系社会研修員のルカスさんのトーク

体育館でのオープニングは、高橋先生自身の協力隊時代の体験談からスタート。そして今回のイベントのねらいを率直に話されました。「人間は誰しも、異なる習慣や文化に直面したとき違和感を抱く。でもちょっと見方を変えてみてほしい。『げぇ~!』と拒否するのではなく『わぉ!』と楽しめるようになってくれたら嬉しい」。高橋先生の想いを生徒は真剣なまなざしで聞いていました。
その後は宍道高校で学ぶ外国ルーツの生徒による外国語講座や、自身の中学時代から今をふりかえるスピーチなど、興味深く、また日本社会をふり返るようなお話がありました。
体育館での全体会の最後は、JICA島根デスクの舛本才智国際協力推進員と、現在島根県でJICA日系社会研修員として活動している日系3世の島田ルカスゆきおさんによるクロストークでした。自身が生まれ育った町のこと、日系社会のこと、島根県に来て驚いたことなど、身近に感じた異文化についてユニークなエピソードをまじえて話してくれました。

ゲームを通じて考える「ちがう」ということ

青年海外協力隊員が体験した「異文化」の話

後半は5つの教室に分かれ、「バーンガ」というゲームを行いました。また、5つの教室それぞれで5名の青年海外協力隊経験者が、現地での体験談も話しました。他者を尊重することは大切なことと誰もが分かっています。でも実際に自分が異なる価値観と出会ったら?自分と違うルール、習慣を持つ人と共に生活したら?言葉も通じない環境で、どうコミュニケーションを取るだろう?ゲームでの疑似体験と協力隊活動での異文化体験談を通じて、生徒は様々な想いを抱いたようです。
「多文化共生を考える日」は、参加したすべての人に気づきの多い企画となったようです。後日のアンケートでは生徒から「異なることを強みにするという前向きな考え方を教えてもらった。今後の生活にいかしていきたい」「協力隊の活動に興味がわいた」「ゲームを通じて少数派の気持ちがわかった」といった感想が上がりました。共催としてワークショップや講義を担当したJICA関係者にとっても、新たな発見や学びの多い充実した1日になりました。
JICA中国はこれからも、各地で活躍するJICA海外協力隊経験者や学校などと連携しながら、地域と世界をつなぐお手伝いをしていきます。